地球の仕組み

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Essay ■ 3_35 化石を探す人たち
Letter■ 化石を見つけるには・城川から積丹へ
Words ■ プロのアマチュアはどこが違う


(2004年9月9日)
 化石のマニアやアマチュアは、化石を見つけることが一番目的です。ところが、研究者は化石を地層から見つけることが目的です。化石探しには違いないのですが、実は大きな違いがあります


Essay 3_35 化石を探す人たち 

 化石は多くの人を惹きつけます。特に子供たちは化石には目がありません。恐竜の化石ともなれば、いつまでも見入っています。化石を探すことも、なかなか面白いものです。でも、化石はどこでもすぐに見つかるとは限りません。やはり限られた場所に出ます。そんな化石を探すにも、研究者は、それなりの注意をはらっています。研究者でも、古生物学者は、化石を見つけることも重要な仕事なります。しかし、化石ハンターや化石マニアとは明らかに違ったアプローチをします。
 すべての堆積岩に化石があるわけではありません。化石がたくさん含まれる地層とほとんど含まれない地層、その間の少ないけれどもときどき含まれている地層などあります。その違いは、地層がどんな環境で溜まったかによります。例えば、北アメリカ大陸で恐竜がたくさん出る地域は、深く南北に延びた湾の海岸沿いに溜まった地層のあるところです。モンゴルでは砂丘のようなところでたまった地層から恐竜がみつかっています。
 地層がどんなとろにたまったものなのかは、地質調査がされた結果とし、その見解をもとに地質図が作られます。日本では、地質図の説明書として、同時に出版されています。その情報をもとに、化石が出るところ探すことになります。
 例えばある地域のある時代の生物を調べるとしましょう。研究者は、まずはじめに、その時代のその地域の地層のことを、できるだけ詳しく調べた論文をたくさん探して調べてます。そして、化石がなんという地層のどこに出るかを調べていきます。そして、その場所がわかったなら、たとえそれがどんなに大変なところであろうと、その目的を達成するために、その地層の出るとこへ入ってきます。滝があろうが、熊が出そうでも、いきます。そして、地層から化石をみつけるまで、永遠と発掘を続けていきます。それが研究者です。
 古生物学者は、特別に珍しいものをのぞき、地層の中にあるものを見つけることに専念します。化石には、河原にころがっている石ころの中にも入っていることがあります。しかし、そんな化石は学術的には価値が低くなります。なぜなら、河原の石ころは、もともとそこにあったわけではなく、上流から転がってきたものです。ですから、どの地層から、どのような状態で見つかるかが、非常に重要な情報となります。
 たとえば、恐竜の卵の化石などは、卵がどう並んでいたのか、巣のようなものがあったのかなどは、ばらばらの卵の破片の化石では知ることができません。そして、地層の中から卵の化石がみつかれば、その情報を探ることができます。そして巣があれば、恐竜は卵を産みっぱなしではく、子育てをしていたことがわかります。
 また、恐竜の体が埋まった状態がわかれば、その恐竜がどのように死んだのかわかります。砂の穴に落ち込んでもがきながら生き埋めになった状態の恐竜化石が見つかっています。子供を守るようにして死んでいる親の恐竜化石も見つかっています。
 研究者たちは、化石から生きていた時のこと、その当時のことを知るために、よりたくさんの情報がみつかる地層からの化石の発掘をしていきます。
 考えてみれば、化石とは死体の一部です。でも、長い時間を経てきたものは、死体とはいえ、人を惹き付けるものに生まれ変わるようです。これは時間の効果でしょうか。時間には浄化作用があるのでしょうかね。


Letter 化石を見つけるには・城川から積丹へ

・化石を見つけるには・
Matさんとのメールで、恐竜の化石の話をしているときに、
ふと思いついたのが、このエッセイです。
アマチュアが化石を探すコツは、
まず、化石が出そうな堆積岩が分布しているところを
探さなければなりません。
どこに化石のよく出る地層が出ているかの情報は、
地質図や地質のガイドブックで得ることができます。
日本では、すべての地域で精度はさまざまですが、
地質図はそろっています。
少なくとも20万分の1の縮尺のものは全国の分があります。
さらに精度の高い5万分の1の縮尺は、まだそろっていませんが、
多くの地域のものがあります。
そして、地質図の説明書や地質のガイドブックなどで、
化石の出る場所の情報をえて、
その地域を丹念に探していきます。
ひとつ見つけるまでが大変です。
どれが化石かが、なかなかわからないからです。
そんなとき専門の案内者がいるとすぐに見つけられるようになります。
ひとつの化石を見つけると、つぎつぎと見つけられるようになります。
そんな宝探しのような醍醐味が化石探しの魅力でしょうかね。

・城川から積丹へ・
9月に2日から9日まで、
四国の西予市の城川にでかけていました。
このメールが届くころを
私は北海道にもどっています。
明日からは北海道の積丹半島をめぐる調査をしてきます。
四国は私一人でしたが積丹半島は家族も一緒です。
私は、海岸線沿いの調査していくつもりです。
家族は海遊びです。
問題は天候です。
さあどうなることでしょうか。
こればかりは、心配してもしょうがありません。
まずは、足を運ぶことが大切でしょうから。


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