地球の仕組み
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3_20 堆積岩のいろいろ

(2002年1月24日)
 堆積岩とは、主には土砂が、陸地から川の作用によって流れ込み、海底に溜まったものです。でも、これがすべての堆積岩のでき方ではありません。今回は、堆積岩でも少し変わったでき方のものを紹介しましょう。


 堆積岩の変り種といってもいろいろありますが、よく見られる岩石にしましょう。それは石灰岩です。誰もが一度は耳にし、目にしたことがあるはずです。そんなありふれた石灰岩ですが、そのでき方は、普通の堆積岩とは少し違っています。
 石灰岩は「産出しない都道府県はない」といわれるほど、ありふれた岩石です。ただし、その規模はさまざまです。四国のカルスト台地や山口の多数の鍾乳洞をもつ秋吉台のような大きなものから、数cm程度の厚さの地層まで、さまざまです。あるいは、海外に目を向けると、中国の石林や桂林など、宇宙から見ても損害が確認できるほどの巨大な石灰岩があります。
 石灰岩は、大部分が方解石という鉱物からできています。方解石は、炭酸カルシウム(CaCO3)という化合物です。小学校の理科の時間に実験をやったと思いますが、方解石に塩酸をかけると二酸化炭素(CO2)がたくさん発生します。かけるものは塩酸でなくても、酸であれば何でもかまいません。台所にある酢(酢酸)でも、ゆっくりとですが、二酸化炭素を発生します。
 石灰岩はよく見ると、化石が見えることがあります。その化石は、サンゴ虫であったり、その他の微生物の破片であったりします。化石は、石灰岩を割った面より、風雨にさらされて風化を受けた面に、よく見えます。それは、雨に含まれる炭酸によって、石灰岩がゆっくりと溶けていくためです。ですから、石材として石灰岩は、建物内部に使うことはあっても、雨の当たる外部に使うことはあまりありません。
 石灰岩の化石の種類を見ていきますと、サンゴ礁をつくっている生物の殻が、その主要なものとなっています。石灰岩によっては、そのような化石の「つくり」が熱や圧力によって方解石に再結晶してしまって、消されていることがよくあります。でも、もともとはサンゴ礁をつくっていた岩石が石灰岩となっているのです。
 サンゴ礁は、今も昔も、暖かい海(熱帯や亜熱帯)でできるものです。それが、現在、温帯にある日本の地層から産します。ではなぜ、暖かい海でできる石灰岩が日本列島にあるのでしょうにあった。その説明として、地球全体が今より暖かかったか、日本列島全体が今より南の暖かい熱帯地方にあったか、日本列島は今の位置にあったが石灰岩だけが南から来たとか、などという可能性が考えられます。日本列島は今の位置にあったが石灰岩だけが南から来た、と考えられています。それは、日本列島はかつてはユーラシア大陸にくっついていた(昔は日本海はなかった)こと、他の地層には寒いところにいた化石がある、石灰岩を含む地層は日本列島にのし上げてられている、などの地質学の多くの証拠から確かめられています。つまり、石灰岩は、南から移動してにて、日本列島にくっついたということになります。
 南の海でできた石灰岩が、日本列島の地層の至るところに含まれてといるということは、日本列島は、常に南の海で溜まった岩石が移動して、のし上げられるような「場」にあったということを物語ります。
 そのような作用を起こしたのが、プレートテクトニクスと呼ばれるものです。日本列島の地層は、南の海から集められた地層が、火山や断層によって乱され、さらに地下深部ではマグマが活動して、変成岩をつくったりされるような「場」なのです。まるで、寄木細工の模様のように、複雑ですが、地質学者から見ればきれいな模様をつくっているのです。