地球の仕組み
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3_15 地殻

(2001年12月6日)
 固体部分の地球で、一番外側にあるのが、地殻です。つまり、地殻が、固体部分では、一番軽い物質です。さらに、地殻は、固体部分で、一番、私たち生命や人類に馴染み深いものであります。地殻を、概観していきましょう。


 地殻は、岩石からできています。地殻の岩石は、種類によって、さらに2つに区分できます。花崗岩(かこうがん)と玄武岩(げんぶがん)の2つです。花崗岩と玄武岩には、さまざまな違いがあります。花崗岩は、白っぽい色で、粒が粗く、比重は小さいです。一方、玄武岩は、黒っぽい色で、粒が細かく、比重は大きいです。玄武岩の方が比重が大きいので、玄武岩が下(あるいは地球の中心に近い内側)にあり、花崗岩が上にあることになります。そして、その一番の現れが、大陸と海洋の地殻となっています。海洋地殻は玄武岩からできています。大陸地殻の上部は花崗岩からできおり、花崗岩の下(大陸地殻下部)には玄武岩な仲間の岩石があると考えられています。
 花崗岩は、古い時代に形成されたものから、最近できたものまで、さまざまな時代ものがあるのに対し、玄武岩は、花崗岩のように古いものは海洋地殻には見当たりません。大陸地殻には、新しい時代にできた花崗岩が付け加わり、地表に残されているのに対し、海洋地殻は常に更新されているのです。
 このような花崗岩と玄武岩、あるいは大陸地殻と海洋地殻の関係は、どのように説明されているのでしょうか。現在の大陸地殻と海洋地殻の関係は、プレートテクトニクスで説明されています。海洋地殻と大陸地殻の接点には、海溝(かいこう)が形成され、そのさらに大陸側には、島弧(とうこ)と呼ばれる火山活動の活発な地域が形成されます。島弧の地下深部では、花崗岩が形成されていると考えられています。つまり、大陸地殻と海洋地殻の境界では、新しい大陸地殻が形成されているのです。つまり、大陸地殻は常に、増えているのです。
 つぎに、大陸地殻と海洋地殻の関係が、いつごろ成立したのか、みていきましょう。最古の海洋地殻が、38億年前のグリーンランド、イスアにあります。グリーンランドは大陸地殻でできてますが、そこには、玄武岩でできた海洋地殻の小さな断片が残されています。同時期の花崗岩もあります。ですから、最古の大陸地殻と海洋地殻の関係、つまりプレートテクトニクスの証拠が、そこには残されています。その関係は、現在の関係と同じです。地球の地殻の歴史は、38億年前から現在まで、ずっとプレートテクトニクスが重要な働きをしてきたことがわかります。そして、その結果、大陸は常に増加していると考えられます。
 最古の鉱物は、ジルコンと呼ばれているもので、約44億年前(正確には44億0400万年前)まで遡ります。ジルコンが、プレートテクトニクスの直接の証拠となるわけではありません。でも、ジルコンから海やプレートテクトニクスの匂いが漂ってきます。その理由は以下の「風が吹けば桶屋が儲かる」式論法によります。
 ジルコンは、花崗岩に普通に含まれている鉱物です。大部分の花崗岩は、水の存在下で形成されています。水の存在は、海の存在を匂わします。海の存在は、海洋地殻の玄武岩の存在を匂わしっます。海洋地殻の存在は、プレートテクトニクスの匂わします。ほんの微かな匂いです。でも、少ない証拠から夢は広がります。