地球の仕組み
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3_5 火星の火山

 
火星の火山
Apollinaris Patera
(2000年4月12日)
 地球の大地の多くは、マグマの活動によってつくられます。マグマの活動で一番私たちがよく知っているのは、火山活動です。記憶に新しいところでは、長崎県の雲仙普賢岳、北海道の有珠山、伊豆諸島の三宅島の火山活動があります。では、火山活動とは地球だけの特徴なのでしょうか。
 実は多くの惑星で火山活動があったと考えられています。しかし、現在活動している活火山があるのはそれほど多くはありません。一番有名なのは、木星の衛星のイオの火山活動です。1979年3月8日、惑星探査機ボイジャー1号が、イオの火山噴火の画像を送ってきたときは衝撃的でした。しかし、イオの火山は、木星との潮汐作用によってイオウが噴き出す火山でした。地球の岩石が溶けたマグマの火山と比べれば、イオの火山は変わったものでした。
 火星や金星では、多くの火山が見つかっています。ですから金星や火星では、かつては火山が活発に活動していたと考えられてます。それは、地球に似て、岩石の溶けたマグマによる火山です。
 火星には地球をしのぐ巨大な火山があります。オリンポス火山は、現在知られている中では、太陽系で最大の火山です。直径700km、高度25kmという、とてつもなく巨大な火山です。地球最大の火山は、ハワイ島で、直径200km、海底からの高度9kmと比べれば、その巨大さに驚きます。火星は地球より小さい惑星なので、惑星の内部の熱も少なく、もう冷めてしまった星だと考えられていました。つまり、もう新たな火山活動などないような、死んでしまった惑星だと考えられていました。
 2001年3月14日付けのCNNニュースで、アメリカのテキサス州ヒューストンで開かれた学会で、火星で2つの火山が現在も活動している可能性があるという報告がなされました。NASAの火星探査機マーズ・グローバルサーベイヤーの高精度の画像を調べたところ、南半球に2つの火山が見つかりました。ティルヘナ・パテラとハドリアカ・パテラの2つの火山は、35億年にわたって活動を続け、現在も活動をしている可能性があることが示されました。さらにこの火山周辺では、火山の熱で地表の氷が溶けて、火山の周りに運河を形成していることも明らかになりました。
 火星は死んだ惑星ではなく、現在もささやかながら活動を続けている可能性が出てきたのです。とすると、火山活動で、水が定期的に供給される環境が長く維持されれば、生命が発生し、進化している可能性があり、現在も生きているかもしれないのです。ぜひ、その真偽のほどを確かめてみたいものです。

http://mars.jpl.nasa.gov/gallery/volcanoes/PIA02006.html