生命の歴史
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Essay■ 2_210 生命誕生の条件 5:後期重爆撃
Letter■ 雪虫・野外調査
Words ■ 雪虫の発生が冬を先触れ 


(2023.11.09)
 過去の地球、それも形成直後の地球の姿を探るため、月の情報が役立ちそうです。月は地球についで、データや情報が多い天体なので、そこから過去の地球の姿が探求されています。


Essay■ 2_210 生命誕生の条件 5:後期重爆撃

 地球は「ドライで裸」の状態からスタートしたことは、前回紹介しました。現在の地球とは、あまりにもかけ離れた姿でした。これは、小惑星の構成岩石や原始太陽系における太陽からの距離による条件から想定された姿でした。
 現在の地球になるためには、どのような事件があったのでしょうか。まず、地球の衛星の月に着目します。月は、小さいため内部にあった熱は、すぐに放出されてしまっており、地質学的活動は初期に終わっています。また、大気や海洋がないので、侵食はありません。月を見れば、地球軌道上で起こった大きな天文現象の痕跡が残っており、読み取れるはずです。
 月の特徴として、常に同じ面を地球に向けています。地球側には、黒っぽく見える「海」と、白っぽく見える「高地」と呼ばれているところとがあります。裏側は高地ばかりが広がっています。海にはクレータが少なく、高地にはクレータが多くなっています。海は、大きなクレータの地形や形状をしています。天体の衝突クレータができ、そこをマグマが埋めて新しい大地が海となりました。そして、時間経過ととも、新たなクレータが形成されたよう見えます。
 アポロ計画で人類が月に降り立ち、各地の岩石を持ち帰っています。岩石があれば、その特徴や正確な年代を調べることができます。海のクレータの中の岩石は新しい玄武岩で、高地は岩石は古い斜長岩であることがわかってきました。
 大きな天体に小天体(隕石)が落下するとクレータが形成されます。もし、隕石の落下が一定の比率だったとすると、一定範囲のクレータの数(数密度と呼びます)と、その大地のできた時期が、相関することが想定されます。海の岩石の年代とその地域のクレータの数密度の相関関係がわかれば、それ以外の地域での形成年代が推定できます。クレータの数密度から大地の形成年代を見積もる方法をクレータ年代学と呼びます。
 大きなクレータの形成年代を見積もっていくと、一様ではなく、ばらつきがあることがわかってきました。ばらつきは,ある時期に集中的にクレータ形成が形成されたことを示していました。
 月が形成された少し後に、クレータが多数形成されたことになります。そのような現象は、小天体が多数落ちてきて、まるで重爆撃がおこったようなので、「後期重爆撃(LHB: late heavy bombardment)」、あるいは「月面激変」と呼んでいます。
 後期重爆撃が、地球の表層変化にどのような影響があったのでしょうか。次回としましょう。


Letter■ 雪虫・野外調査

・雪虫・
先週の晴れた日には雪虫が多くでていました。
雪虫は、白い綿のようなものを見つけているので
白い雪が舞っているように見えます。
北海道では雪虫が舞うと雪が近いといいます。
雪虫は飛んでいるのですが、
か弱くハラハラとしが飛びません。
そのため、歩いていると、人に衝突してしまいます。
顔についたり、目や口に入ったりします。
衣服についても離れないので
薄い色の上着やコートを来ていると
雪虫が目立ちます。
潰すとシミになるので、
注意して払わなければなりません。
しかし、雪虫の発生もほんの一時期なので
風物詩となるのでしょうかね。

・野外調査・
今週末から今シーズン最後の野外調査にでます。
雪がない地域として北海道の南部にしました。
渡島半島を一周して、もどってきます。
何度もでかけているところですが、
古い岩石からなる付加体、
新しい活火山もいくつかあるので
同時に見て回ります。
野外調査は、寒い時は大変になるのですが
最後なので楽しんでこようと思っています。