生命の歴史
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Essay■ 2_206 生命誕生の条件 1:ハビタブルゾーンの先へ
Letter■ 1週間の疲れ・休講と遠隔
Words ■ 大学での日常に順応してきた 


(2023.10.12)
 今回のシリーズでは、進展してきた冥王代の研究と、それに伴って生命誕生でも新たな展開が起こってきました。生命誕生に関する話題をいくつか取り上げて、紹介していきます。


Essay■ 2_206 生命誕生の条件 1:ハビタブルゾーンの先へ

 地球での生命誕生のための条件やシナリオについて考えています。ここ20年ほど、地球最初の時代、冥王代(45.6億から38億年前)の研究で、進展がありました。その中には、生命誕生に関する成果も多く含まれていました。その成果は、冥王代や生命誕生に関する画期的なブレークスルーになるような大発見ではなく、新たなアイディアや地道な研究の進展の積み上げによるものでした。
 このシリーズでは、地球生命の誕生についてみてきます。そのきっかけにはいくつかものがありますが、多数の系外惑星の発見があります。系外惑星とは、太陽系ではない、もっと多くの恒星の周りを回っている惑星のことです。系外惑星探査専用の衛星も2機目となり、多数の惑星が発見されてきました。
 系外惑星の多様性は、重要な情報源、そして束縛条件となっています。系外惑星の多様性を説明するには、これまでの太陽系形成の標準モデルへの修正が必要になりました。
 系外惑星における生命誕生への束縛条件も、実際の観測からその頻度もわかってきました。系外惑星で、生命誕生の可能性を探す時、「ハビタブルゾーン」がキーワードになっています。ハビタブルゾーンとは、「生存可能領域」とも呼ばれ、生命が誕生し、生存している可能性がある領域のことです。ハビタブルゾーンとは、その天体に水が恒常的に存在しうるかどうかを、天文学的観測によって推定していきます。
 系外惑星におけるハビタブルゾーンをもっており、地球に似た惑星いまのところ数はかなり少なくなっています。そこには、正確な統計とはなりにくいバイアスがあります。
 遠くの恒星系で、恒星の近くある小さな惑星は、発見しづらいものです。観測している地球から見て、公転面が水平になっているものが、発見されやすくなります。恒星の比較的近の軌道に位置し、小さく、薄い大気と岩石の表層をもった惑星に、ハビタブルゾーンがあります。そのような惑星が発見できる条件を考えると、大きなガス惑星と比べると見つけにくくなっているはずです。それがバイアスとなっている考えられます。
 ハビタブルゾーンでいう水の存在は重要ですが、生命が誕生するには、水だけでは足りません。生命の材料として、水(H2O)だけでなく、各種の成分(例えば、炭素、リン、カリウムなど)が必要で、さらに元素から生命の材料を合成するための場(環境)やメカニズム(エネルギー)も必要になります。ハビタブルゾーンだけにでは生命は誕生できず、重要な条件も加味しなければなりません。それをドームと丸山さん(Dohm and Maruyama, 2015)は、ハビタブルトリニティ(Habitable Trinity)と呼びました。
 生命が誕生できる(ハビタブル)条件として、3つ(トリニティ)が必要だとしました。その詳細は次回としましょう。


Letter■ 1週間の疲れ・休講と遠隔

・1週間の疲れ・
9月30日にも半年ぶりに帰宅してきて、
早1週間がたちました。
月曜日から金曜日まで、次々と
講義と準備、実施、会議、打ち合わせ、
土曜日にも校務がありました。
10月1日から毎日休みなく大学にきています。
毎日大学に来るのは、いつものことなので
大変さは感じません。
半年間、西予では片道2kmほどは歩いていたのですが
あとは温水プールでの水泳でした。
戻ってすぐに片道4kmを、毎日朝夕、
往復を歩くことになりました。
大学の日常に戻るのに1週間で十分でしたが、
長い距離を歩くのが久しぶりなので、
体力を思った以上に使っているようです。
週末にはぐったりしています。
これは体が慣れるまで、続けることでしょう。
ぐっすり寝て休養することしかありませんね。

・休講と遠隔・
サバティカルの最中の9月下旬からから、
大学では講義がはじまっていたので
1回しか開講しないものは休講として
2回開講するのは遠隔授業としました。
すべて遠隔授業だけなら対処してきたのですが、
一部、それも最初の2回の講義が
遠隔授業での実施はつらいものがあります。
学生の前提もバラバラなので
1、2回目の講義の要約をしなければ進めません。
それに時間を取られます。
まあ、仕方がありませんが、
各講義でできるだけ補うしかありません。