生命の歴史
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Essay■ 2_205 全球凍結と生物進化 6:生き延びた光合成生物
Letter■ 学位記授与式・引き際の準備
Words ■ 別れの季節になってきました 


(2022.03.17)
 今回の論文では、光合成生物が生き延びたという証拠が提示されました。そこで話は終わりません。その原因やメカニズムが次なる課題となります。さいごに、課題を整理しておきましょう。


Essay■ 2_205 全球凍結と生物進化 6:生き延びた光合成生物

 従来の全球凍結の考えを示してから、静谷さんたちの論文により新しい成果も紹介しました。光合成生物が氷河期を生きのびた証拠が示されました。その成果から、課題も明らかになってきました。
 まずは、従来から課題であったものです。海が全面凍結していたとき、進化していた生物、特に光合成生物はどうして生き延びたのかという問題でした。さらに、全球凍結の直後には、暴走温暖化による異常な高温期がありました。寒冷期を生き延びた生物にとっては、高温という過酷な条件が急激に出現し、そこでも大絶滅がおこったはずです。この極寒と高温という2つの強烈な環境変化に、生物はどう生き延びてきたのが、そのシナリオを考えなければなりません。
 氷河堆積物のダイアミクタイトの中から光合成生物のバイオマーカーが見つかってきました。光合成生物は、過酷は寒冷期であっても生き延びていた証拠がでてきました。ダイアミクタイトが形成されるということは、氷河が溶けてそこに含まれていた堆積物が海底にたまる場があったことなります。海に氷河が流れ込んで溶け、堆積物が海底まで落ちて堆積するような海があったことになります。つまり、少なくともある地域では海が完全に氷が溶けた状態になっていたことになります。
 ダイアミクタイトができる場が、恒常的にあったのでしょうか、それとも限定された地域だけでしょうか、全球凍結の終末期だけを見ているのでしょうか。
 もし恒常的に存在するのであれば、全球凍結といいっていますが、本当に全海が完全に凍っていないことになります。それとも、全球凍結でも、その地層が溜まったような地域では、凍結を免れていてレフュージアになっていたのでしょうか。氷の中でも休眠で生きており、ほんの短い雪解けの季節だけ水の中で生命活動をしていたのでしょうか。あるいは、温泉水が常に流れ込む海などでほそぼそと生き延びてきたのでしょうか。
 もし、終末期だけに出現したのだとした、光合成生物はどうして生き延びたのでしょうか。やはりどのようなレフュージアであったのかは、まだ課題として残ります。
 寒さは火山などによる暖かな地域があれば、レフュージアとしてやり過ごせます。一方、暑さを回避するには、涼しいところに逃げる必要があります。そのような場は北極や南極周辺の海、高山の河川や池などの局地が比較的低温であったと想像されますが、地球全体が高温になれば、そのようなところでもかなり高温になりそうで、レフュージアには向かないでしょう。課題です。
 今回のバイオマーカーから見ると、温暖化のほうが問題だったようです。生物の全有機体炭素の変化から、高温期に多くの絶滅が起こっていることが示されています。この温暖化は急激であったことが問題だったようです。寒さに対応した生物が、急激な温暖化、あるいは炭素の多い大気からの強烈な酸性雨、海の酸性化なども起こったはずでしょう。生物には過酷で多くの絶滅が起こっていたようです。
 今後、この温暖期の問題を考えていく必要があるようです。幸い、温暖期の堆積物は炭酸塩岩層として大量に残されていますので、証拠が見つかりそうです。


Letter■ 学位記授与式・引き際の準備

・学位記授与式・
いよいよ大学は学位記授与式(卒業式)になります。
ホールで合同のセレモニーをして、
教室で学科ごとに学位記を手渡しをします。
今年は、この段階で全セレモニーは終了です。
通常は、この後、大きなホテルのホールで在学生が主催する
卒業式を祝う会が催され、
その後学科での祝賀会をおこなっていました。
午後のセレモニーから夜までお祝いが続いていました。
それも昔のことになっていくのでしょうか。

・引き際の準備・
最近、友人たちの退職の報が続いています。
以前は定年が、60歳でした。
最近では、65歳まで延長されたり、
一旦退職して再度給与や労働条件を変更して、
再就職することもあります。
いろいろな退職状態がでてきました。
私の退職は、まだ少し先ですが、
少しずつ引き際の準備をしています。