生命の歴史
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Essay■ 2_201 全球凍結と生物進化 2:地質学的証拠
Letter■ 帰省のキャンセル・集中講義
Words ■ オミクロン株による感染爆発は継続中です 


(2022.02.17)
 氷河期が起こっていたという、地質学的証拠が見つかってきました。しかもその証拠の中には、全球凍結を示すものも含まれていました。全球凍結を示す証拠とはどのようなものでしょうか。


Essay■ 2_201 全球凍結と生物進化 2:地質学的証拠

 全球凍結の状態になってしまうと、理論的には海のある状況には戻れないことがわかっていました。地質学的にも、海が継続的に存在していることがわかっていました。ですから、全球凍結はなかったという考えが定説となっていました。
 地質学的証拠を先入観なくみていくと、氷河があったことがわかってきました。現在では当たり前になっている第四紀の何度かの氷河期ですが、最初には多くの人が信じていませんでした。氷河期には、山脈に氷河があったのですが、中緯度でも平地にも氷床が形成されていたことがわかってきました。
 もっと古い、生物の化石が見つからない時代にも、氷河期が見つかってきました。
 ある時代の氷河の分布を見ると、非常に広い範囲に広がっていました。大陸移動を考え当時の大陸配置を復元していくと、現在では決してみられない地域にも、氷が覆っていた証拠が見つかりました。例えば、低緯度(赤道付近)で氷河が削った堆積物が見つかったり、氷床が運んだ礫が低緯度の海底堆積物から見つかったりしました。これらは、赤道付近の大陸まで氷床や氷河があったという証拠になります。
 赤道まで氷床ができる状態の地球を考えると、理論で示された全球凍結が起こったと考えられます。地質学的証拠からはそうなってきました。太陽からの入射光を熱源として、地球のアルベドの変化を理論で考えていました。そこでは、大気の組成の大きな変化などは想定していませんでした。理論は、想定外の条件は計算には反映されません。
 過去に全球凍結が起こっていたとしたら、全球凍結からどのようして海のある状態に戻れるか、という点が問題となります。その謎を解く手がかりも、堆積物にありました。
 氷河の痕跡を残していた海成層の上には、分厚い炭酸塩岩層が堆積していました。ここから推測をしていきましょう。
 炭酸塩が堆積するということは、大量の炭酸が海水に溶けていたということです。炭酸塩の厚い層ができるということは、沈殿が継続することを意味し、炭酸が海水に供給され続けていたはずです。炭酸は、大気中の二酸化炭素が海に溶けることで供給できます。大気中に大量の二酸化炭素が存在していたことになります。そのような大量の大気中の二酸化炭素は、火山ガスが長い時間を供給されていれば、蓄積可能です。もしこのような推測が正しければ、大気中に大量の二酸化炭素があったことになり、強烈な温暖化効果が起こったはずです。これが、全球凍結から海のある状態へ戻るメカニズムになるはずです。
 火山ガスが大気中に蓄積するのは、現状の火山噴火の量でも、十分可能だと見積もられています。現在の地球では大気中に二酸化炭素は植物や海洋に吸収されていき一定量に保たれています。もし、二酸化炭素が陸上植物や海が吸収されることがなければ、大気中に蓄積していきます。
 全球凍結が起こっていた時代は、陸上生物がまだ出現してません。また、全球凍結で海洋もすべて凍っていたので、海水と大気は接していませんでした。
 以上のことから、なんらかのきっけかで、寒冷化に向かっていけば、全球凍結の状態になることで、地球の気候は安定します。しかし、火山活動は地球内部からの熱放出なので、継続しています。火山ガスから供給された二酸化炭素は、どこにも吸収されることなく、大気中に堆積していきます。
 やがて大気中の二酸化炭素は、強烈な温暖化を起こしはじめます。氷を溶かし、現在の海のある状態に戻していきます。このようなシナリオを描くことができます。全球凍結が起こっても、自動的に戻ってこられるメカニズムが、地球には組み込まれていることになります。
 では、全球凍結は、どの時代に起こったのでしょうか。それは何度あったのでしょうか。次回としましょう。


Letter■ 帰省のキャンセル・集中講義

・帰省のキャンセル・
全国でまん延防止等重点措置の延期が決定されました。
2月末から3月にかけて、
横浜と京都に帰省する予定でしたが、
急遽キャンセルしました。
高齢の親にも、しばく会っていませんが、
会いにいくと、今度はコロナ感染が心配です。
息子たちにも、しばらく会っていません。
お互いに、感染拡大地域なので
接触はしないほうがいいでしょう。
残念ですが、今回も諦めました。
これで丸二年、家族のいることろに帰省できていません。

・集中講義・
大学は、後期が終わり、通常の授業がないので、
厳しい措置は取られていません。
ただし、資格取得に必要な授業は
対面で進められています。
3月には、私が担当する
教職に関係する授業もあります。
これは対面で集中講義としておこなわれます。
それまでの個別指導は遠隔ですが。