生命の歴史
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Essay■ 2_192 LUCA 1:最終共通祖先
Letter■ 危機管理レベル下がる・野外調査の再開
Words ■ 7月ですが涼しです 


(2021.07.08)
 「私たちはどこから来たのか」ということを考えていきます。哲学的な問いですが、このシリーズでは生物のもっとも最初の種、生物の誕生を考えていきます。生物の誕生は、現在、どのような考え方があるのでしょうか。


Essay■ 2_192 LUCA 1:最終共通祖先

 「私たちはどこから来たのか」という問いは、さまざまな内容が考えられます。哲学的な内容としては、人や自分の「存在意義」や「存在理由」などを問うこともあるでしょう。その問いの内容やレベルによって、求める答えはいろいろになってくるでしょう。多様な答えがありえるでしょうが、そもそも答えがあるかどうかもわかりません。そのような理由で、わかりにくい問いになってしまいます。まずは問いの意味をよく考えないといけません。
 その問いの意図を「由来」と尋ねることとした場合、自身の出生や親、祖父母、祖先などの由来、あるいは家系や氏族の由来まで、たどり着くでしょう。さらに問いを続けると、祖先を辿(たど)ることになってきます。
 私たちの祖先を辿るということは、ヒトという生物の種の祖先を辿ることになります。ヒトの祖先をもっとも古い種まで辿ると、新種として他の種(ここではA種と呼びましょう)から別れてきたはずです。A種とは、ヒトに似ているでしょうが、異なったもので、より以前から存在していた種になるはずです。では、A種の由来を尋ねていくと、より以前のB種、C種・・・とヒトに似た種を遡っていきます。それは霊長類の由来を辿ることになり、さらに遡ることは、哺乳類、脊椎動物、動物、真核生物・・・の由来は、となってきます。最終的には、生物の誕生に辿り着くことになるでしょう。
 このような祖先をたどる作業では、化石が見つかれば、祖先であったかどうかを確認できるはずです。しかし、硬い部分をもたない生物、単細胞生物にまで遡ることになり、化石は見つかるのは難しそうです。もし、「化石らしきもの」があったとしても、それが昔の生物であったかどうかの確認は難しいかもしれません。
 多分、生命の誕生、最初の生物の化石は、見つかりそうもなさそうです。直接の検証できそうな物証がないとすれば、他の方法で推定していくしかありません。
 現在の存在している生物で、もっとも原始的な種を祖先に近い種とみなす方法、その生物の遺伝子から探る方法、生物をつくるのにもっともらしい化学反応や有機物などの素材合成から考える方法、材料物質の隕石から考える方法、などいろいろなものがあります。
 いずれも、祖先となる生物として一つの種からできていたきと考えています。このような考え方を「共通祖先」といいます。その名称として、最終共通祖先(Last universal common ancestor:LUCAと略される)、コモノート、センアンセスター、プロゲノートなど、いろいろなものがあります。その意味するところも、重なっていたり、異なっていたりします。このシリーズでは、LUCAと呼ぶことにします。
 「共通祖先」は架空の生物ですが、存在するとして、それがどのようなものかを推測していこうとします。その詳細は次回にしましょう。


Letter■ 危機管理レベル下がる日・野外調査の再開

・危機管理レベル下がる・
大学は今週から危機管理レベルが下がり
一部対面授業がもどってきました。
これは、4月の新年度のスタートの状態に戻ったことになりました。
まだまだ、正常とはいえませんが、
学生の顔をみながら授業ができます。
大学でも職域接種と申し込んだのですが、
その結果や連絡はないそうです。
政府のワクチンの数の見込み違い、
あるいは無計画な募集だったのでしょうか、
かなりおそまつな事態です。
大学では、職域接種で後期の授業から
通常状態に戻れると期待したのですが、
まだ少し先になりそうです。
学生は、1年半、遠隔授業を強いられています。
早くなんとかしてもらいたいものです。

・野外調査の再開・
来週末に、やっと野外調査にでかけられます。
出張にあたっては、2週間前に連絡を入れて、
許可をもらってからでるようにとの指示があるので、
危機管理レベルが下る前に準備をして、
下がった直後に申請しました。
そして許可が下りたので、久しぶりの野外調査です。
5月下旬に予定していたコースにでかけます。