生命の歴史
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Essay■ 2_183 清江化石群 1:ラーゲルシュテッテ
Letter■ Googleマップ・ストリートビュー
Words ■ 北海道も湿度の高い日がありますが、夜は涼しいです


(2020.06.18)
 中国で見つかった新しい化石群を紹介します。ニュースは見ていて、関連情報を記録していたのですが、最近まで放置していましたが、今回から、シリーズで紹介することにしましょう。


Essay■ 2_183 清江化石群 1:ラーゲルシュテッテ

 新しい化石の産地の発見についての報告が、2019年3月のアメリカの科学雑誌「サイエンス」で掲載されました。論文のタイトルは、
The Qingjiang biota - A Burgess Shale - type fossil Lagerstatte from the early Cambrian of South China
(清江生物群 南中国の初期カンブリア紀のバージェス頁岩型化石のラーゲルシュテッテ)
というものでした。
 論文のタイトルの中には、いくつかわからない言葉があります。清江(Qingjiang クィンジャン)とバージェズ(Burgess)、そしてラーゲルシュテッテ(Lagerstatte)です。前者2つは、いずれも地名で、最後の言葉が地質学用語です。「清江」は中国の、「バージェス」はカナダの地域名です。清江は、今回発見された化石群が見つかった地域の名称です。
 ラーゲルシュテッテはドイツ語由来の言葉ですが、英語でもそのまま用いられていて、日本語では「ラーゲルシュテッテ」と表記されています。地質学でラーゲルシュテッテとは、化石の保存状態が非常によく、過去の生物を調べるのに重要な化石産地のことをいいます。ラーゲンシュタットには、多数の化石が見つかっているものと、化石の保存が非常にいいものとの、2つのタイプがあります。清江は、両方兼ね備えているようです。
 この発見で、「新しい化石の発見」ではなく、「新しい化石の産地の発見」としたのは、産出の状況がラーゲルシュテッテであったからです。化石の発見場所は、中国の湖北省宜昌市長陽トゥチャ族自治県です。武漢市の西に200kmほどに位置し、宜昌(ぎしょう)市という大きな街の郊外になります。巨大なダムがあり、そのダム湖上流で5箇所ほどの産地が示されています。周辺は、人が住んでいる地域で、開拓されて農地になっているようです。重要な化石の産地が新たに、人家の近くで見つかるとは驚きです。乱獲されずに残っていればいいのですが。
 ラーゲルシュテッテは、世界各地にいくつもありますが、中国には、他にも、雲南省の澄江(チェンジャン)、貴州省の凱里累層(カリ)や山沱累層(ドゥシャンツァオ)などがあります。しかし、その時代が重要です。なぜなら、時代が異なっているので、違う時代の生物群を比べることできます。
 時代については、次回にしましょう。


Letter■ Googleマップ・ストリートビュー

・Googleマップ・
論文では、化石産地の略図が示されていました。
それを頼りに、Googleマップの衛星画像で
正確な位置を確認することできました。
その結果、発見場所周辺の様子も知ることができました。
Googleマップを見ていると、
人家や車まで見ることができます。
マップの道路も投影されているのですが
その道が衛星画像では見えていません。
もしかすると巨大ダムができて
その上流では、村が水没したため、
道路が切り替えられたのだろうか
などと、いろいろ考えてしまいます。
そんことをしているうちに、
ついつい長時間衛星画像を見入ってしまいました。

・ストリートビュー・
中国の清江でも20mスケールでGoogleの衛星画像が見れます。
北京だと10mスケールでみることができます。
日本だと2mスケールの画像を見ることができます。
このスケールだと、人が歩いているのも
見分けることができます。
ストリートビューに入れば、
人の生活まで想像することができます。
ただし、個人情報は消されていますが。
さすがに中国では、ストリートビューを見ることは
できませんでしたが、香港ではどうでしょうか。
それは、各自で確かめてください。