生命の歴史
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Essay■ 2_177 真核生物の誕生 2:分類と進化と
Letter■ 学位記授与式・ルールには従うが
Words ■ 民主主義は何処にいったのか?


(2020.03.19)
 生物進化に関する論文を紹介しているのですが、いくつか注意すべき点があります。生物を考える時、分類と進化を当たり前、前提として、話を進めていますが、そこには誤解が入り込むことがあります。整理しておきましょう。


Essay■ 2_177 真核生物の誕生 2:分類と進化と

 前回、5界分類よりもっと上位の分類体系として、ドメインというものが現在使われていることを紹介しました。ドメインの誕生には、古細菌という生物群が、5界の分類体系には収まらないことからできたことも紹介しました。
 次に、分類群の進化上の関係を考えていきましょう。どの生物がもとになり、次の分類体系がでてきたかという関係です。これを考えるにあたり、注意が必要なことがあります。それは、「分類」と「進化」の概念についてです。まずは、それら2つの概念を考えておきましょう。
 もともと「分類」とは、生物群間の特徴に関する相違点と共通点を考えてつくられてきたものであって、進化の過程を前提にしているわけではありません。
 現在の生物群には、分類上の2つの中間的なものもあります。例えば、いま食材として注目されているミドリムシがあります。ミドリムシは葉緑体を持っているので、現在の分類学的には植物になっています。しかし、「ムシ」と名称がついているように、細胞壁がなく鞭毛を使って動き回るので、動物の性質もっています。進化の過程の研究からから、ミドリムシは、原生動物が緑色藻類と共生してできた分類群だと考えられます。しかし、現在の分類上は植物に区分されています。
 「進化」という概念にも注意が必要です。進化とは、ある生物が他の生物に変化することです。もともとの生物も生き残っていることも多々あります。ですから、進化前の生物と進化後の生物があっても、進化の後先でどちらが「進んでいるか」や、どちらが「優れているか」を規定するものではありません。進んでいるや優れているかと考えると、「霊長類」などという分類名や優勢思想がでてきます。現在生きているすべての生物は、生存戦略的には、すべて成功者といえます。進化には祖先と子孫の関係、生物のメカニズムとしての単純と複雑の違いはありますが、そこに優劣はありません。
 さて、分類体系が厳密な進化を反映していない前提のもとに、5界分類では進化の変遷においてどんな関係になっているのか、ざっとみていきましょう。つまりどの分類体系から他の分類体系がでてきたかを考えてくことになります。
 まずは、核を持たないモネラがもっとも単純な生物の体制をもっていますので、もっとも最初に生まれた生物群だと考えてよさそうです。モネラから核をもつ原生生物が、後に「進化」してきたことになるでしょう。その後、多細胞生物である菌、動物、植物の3界が進化してきたと考えられます。これが5界の進化を大雑把にみた関係となります。
 そこに古細菌という分類群とともに、ドメインという分類体系が生まれました。古細菌とドメインから、どのような「進化」の関係が見えてくるでしょうか。それがこの論文の中心となりますが、次回としましょう。


Letter■ 学位記授与式・ルールには従うが

・学位記授与式・
大学は、入構禁止が継続中です。
3月25日までは入構禁止です。
その後、すこしずつ行事が進行していきます。
かなり自粛しながらですが。
本来なら、今日は学位記授与式の日でした。
大学の卒業祝賀会、学科の卒業を祝う会もある予定ですが
中止となり、何もない日となっていしました。
学位記や資格証明証は、手渡しなので職員から行わます。
入学式もガイダンスなども中止か最低限、短時間になります。
致し方ないことでしょう。

・ルールには従うが・
新型コロナウイルスのような非常事態になると、
人の弱さ愚かさが、私にはありありと見えます。
科学、あるいは科学的考え方を重視しています。
科学に従事するものであれば、
生き方もそれに則っているべきだと考え
それを実践しています。
今回の新型コロナウイルスの騒動、各国、組織の対応が
科学的でない点が多々あり
気になってしかたがありません。
たとえ根本思想に反対でも、
民主主義の原理も受け入れていますので
組織が決めたルールには従いますが。