生命の歴史
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Essay■ 2_175 グアダルピアン世末の絶滅 5:峨眉山トラップ
Letter■ 研究に専念・帰省中止
Words ■ 急遽帰省中止でますます研究に専念


(2020.03.05)
 グアダルピアン世末の絶滅は、やはり巨大火山噴火が原因ではないかと、考えられています。別の場所ですが、連続して2つの巨大噴火が起こったことになります。この異変は生物にとっては、大きなダメージになりました。


Essay■ 2_175 グアダルピアン世末の絶滅 5:峨眉山トラップ

 ペルム紀末の大量絶滅の事件は、そのわずか710万年前のペルム紀グアダルピアン世の終わりに起きた絶滅事件を見えにくくしていた。ところが、年代測定の技術が進んだことで、区分されて記述できるようになってきました。
 これまでペルム紀末に、海洋生物の96%が絶滅していたとされていたのですが、それはグアダルピアン世末に起こった絶滅分も加わっていました。そのため、多目に絶滅率が算出されていたかもしれないとされています。実際には、80%程度の絶滅であったのではないかと推定されています。
 グアダルピアン世末の大絶滅は、他の大絶滅に匹敵する規模であることがわかってきました。これまで、大絶滅を「ビッグ・ファイブ」と呼んでいたのですが、「ビッグ・シックス」にすべきだと主張する人もいます。
 グアダルピアン世末には、礁を形成していたサンゴやカイメンの仲間が大絶滅し、アンモナイト類(頭足類)も多くが絶滅しています。軟体動物も多種絶滅しました。
 グアダルピアン世末の大絶滅の原因は、ペルム紀末の巨大火山噴火とは別の火山活動ではないかとされています。その火山は、中国南西部に峨眉山(がびさん)トラップ(Emeishan Traps)と呼ばれるものです。峨眉山は中国四川省にある山で、その周辺に玄武岩溶岩が広がっています。2億6200万から2億6100万年前に主に活動し、火山活動は2億5900万年前には終わっています。
 この一連の噴火で、大量の溶岩(100万km2)を流しました。初期は水蒸気噴火も伴っているような海底火山での噴火であったと考えられています。噴火に伴って大量のメタンと二酸化炭素が放出され、気候変動を引き起こしたのではなかいと推定されています。それが絶滅を引き起こしたのではなかいということです。
 ペルム紀末の大絶滅はシベリアン・トラップという巨大噴火で、グアダルピアン世末の大絶滅は峨眉山トラップの噴火でした。両大絶滅には、700万年ほど間隔しかありません。生物が回復するには、必ずしも充分な期間とはいえません。ペルム紀末の大絶滅は、十分回復していない生態系への異変ですから、単独での異変より、ダメージが大きくなったはずです。ですから、グアダルピアン世末の大絶滅を起こした異変、峨眉山トラップの噴火の方が激しく、生態系には過酷な環境が出現したのかもしれません。
 いずれもパンゲア超大陸での巨大噴火です。大陸地殻の分裂のリフトに伴う、巨大な割れ目噴火でしょうか。それともまた別の噴火でしょうか。今後の課題でしょう。


Letter■ 研究に専念・帰省中止

・研究に専念・
3月になりました。
2月、3月は研究に集中できる時期なので、
専念しています。
私にとって研究に専念するとは、
計画通りにプロジェクトを進めることです。
現在ところ、計画は順調に進んでいます。
まだ2020年は始まったばかりです。
来月には、新学期もはじまりますので、
授業や校務にも専念しなければなりません。
でも、今だけは、研究に専念です。

・帰省中止・
このエッセイは一旦は予約送信していました。
それは、帰省のために横浜と京都に滞在する予定でした。
ところが、出かける直前に
北海道で緊急事態宣言が出されました。
大学もそれ受けて、入港禁止が
3/11から3/25まで延長されました。
そのため、急遽帰省を中止しました。