生命の歴史
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Essay■ 2_173 グアダルピアン世末の絶滅 3:シベリア・トラップ
Letter■ ドカ雪・頭を使う作業
Words ■ 研究に専念したい


(2020.02.20)
 生物史上最大のペルム紀ー三畳紀境界の大絶滅は、どのような原因で起こったのでしょうか。その当時に起こった、激しい火山活動が原因だと考えられています。陸でも海でも大絶滅を起こすには、連鎖的な影響が必要です。


Essay■ 2_173 グアダルピアン世末の絶滅 3:シベリア・トラップ

 史上最大の絶滅は、ペルム紀ー三畳紀境界(2億5200万年前)に起こりました。短い期間に、海の生物でも陸の生物でも大絶滅が起こっています。生物種の回復にも多く時間(1000万年ほど)が必要でした。非常に激しい異変だといえます。
 では、大絶滅の原因はなんだったのでしょうか。激しい火山活動が原因だと考えられています。古生代の終わりに超大陸パンゲアがあり、分裂した時期にあたっています。ですから、巨大な大陸プレートが割れていくので、その時、激しい火山活動が起こったと考えられます。通常の火山と比べて、桁違いの規模の火山噴火になったはずです。
 そのような火山活動の痕跡として、「シベリア・トラップ(Siberian Traps)」と呼ばれる噴火があります。時期も一致ています。シベリア・トラップとは、現在のロシアでいうと、ウラル山脈の東から、中央シベリア高原のほとんどすべてに広がっている、ロシアの東側を半分を覆うほど超巨大な溶岩(300万km3)です。
 このクラスの巨大溶岩の噴出は時々起こっています。「洪水玄武岩」と呼ばれているもので、三畳紀のアフリカ、ドラケンスバーグ山脈に広がる「カルー玄武岩」、白亜紀のブラジルの「パラナ玄武岩」、白亜紀〜暁新世のインド、デカン高原の「デカン・トラップ」、中新世のアメリカ合衆国の「コロンビア川台地」などがあります。頻繁ではないのですが、巨大な火山噴火が起こっています。
 大陸プレート上だけでなく海洋プレート上でも、このような火山活動が起こっていることが知られています。合わせて、巨大火成岩岩石区(Large igneous provinces, LIPs)と呼ばれています。白亜紀に活動した南太平洋の「オントンジャワ海台」などは、シベリア・トラップに次ぐ溶岩の噴出量となっています。巨大火山は、環境への影響も大きなものになります。
 シベリア・トラップの火山噴火では、二酸化炭素も大量に放出(14.5兆t)されます。それに加えて、石炭を含んだ地層とも相互作用しメタンなどのガスも発生させたと考えられています。二酸化炭素もメタンも温室効果ガスになりです。ガスが、一気にそして大量に大気中に放出されたため、強烈な温室効果(14〜18℃上昇)が起こったと想定されています。その連鎖で、陸上風化の速度も大きくなり、風化によって大気中の酸素が消費され、濃度を下げました。このような急激な環境変化で陸上生物の大絶滅が起こったとされました。陸上の火山噴火ですが、陸上風化によって海洋の酸素濃度も下がり、海も激しい酸欠状態になり、海洋生物も絶滅した、というシナリオです。
 白亜紀ー古第三紀の境界の隕石衝突も絶滅の原因ですが、衝突だけで大絶滅は説明できず、複雑な連鎖がおこっていたはずです。
 この絶滅があまりに巨大だったので、少し前に起こっていた大絶滅が見えなくなっているという指摘があります。それが、今回のテーマのペルム紀グアダルピアン世の終わりの大絶滅です。


Letter■ ドカ雪・頭を使う作業

・ドカ雪・
2月中旬になって、道路の雪が大半溶けるような
温かい日があったと思ったら、
寒い日もあり、ドカ雪も何度か降りました。
ドカ雪はかなり湿っているので
重くなり除雪などが大変になります。
それでも、今年の冬は暖かさは
今年は、いつもより早く春にが来そうです。

・頭を使う作業・
国公立大学の入試はこれからですが、
私立大学は一段落しています。
ですから、今がもっとも研究に打ち込める時期です。
講義のある時期は、どうしても合間時間に
集中して作業をすることになります。
それでも仕事はできますが、
やはり落ち着いて頭を使う作業に
専念できる時間あるのは助かります。
今、そんな作業をしています。