生命の歴史
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Essay■ 2_172 グアダルピアン世末の絶滅 2:ビックファイブ
Letter■ 新型ウイルス・研究を進める
Words ■ 寒波とウイルスと


(2020.02.13)
 大規模な絶滅は大きい順から判定していけます。大絶滅になるほどその事象は見つけやすくなります。その原因を特定することは、なかなか困難です。なぜなら、原因となる現象と絶滅との因果関係を示すことが難しいからです。


Essay■ 2_172 グアダルピアン世末の絶滅 2:ビックファイブ

 前回、大絶滅ほどその信憑性が高くなることを紹介しました。では、顕生代で、大きな絶滅は、どれくらいあったかをみていきましょう。これまでの研究で、5つの大きな絶滅があったことがわかっています。5つの大絶滅は、エッセイでも何度か紹介してきましたが、「ビックファイブ」と呼ばれています。ビックファイブの概要をみていきましょう。
 最初の大絶滅は、オルドビス紀とシルル紀の時代境界(4億4400万年前)の大絶滅です。すべての種の85%が絶滅したと考えられています。サンゴ、三葉虫、腕足動物、コノドント(ヤツメウナギに似た生物)などの海洋生物が、大絶滅を起こしました。
 2番目は、デボン紀後期(3億8300万年から3億5900万年前)には、生物種の約75%が絶滅しました。絶滅は2500万年の長い期間にわたって、種の多様化も少なくなり、造礁性(礁をつくる)の層孔虫やコノドント、アンモナイトの仲間などが絶滅しています。
 3番目は、ペルム紀ー三畳紀絶滅(2億5200万年前)で、短期間(6万年ほど)で、海棲生物の種の96%が、陸棲生物の種の75%が絶滅しています。それまで存在していた森林も消滅しています。生物は1000万年間ほど回復しませんでした。史上最大の絶滅とされています。今回のシリーズで紹介するのは、この時代の絶滅です。
 4番目が三畳紀ージュラ紀の境界(2億100万年前)の大絶滅です。陸と海の全生物種の80%が絶滅しています。陸上生物では、鳥類、翼竜、主竜類などで、特にワニ類が多く絶滅しました。
 5番目は、白亜紀ー古第三紀の境界(6600万年前)、K-Pg境界と呼ばれるもので、恐竜の大絶滅として有名になっています。恐竜の大半の他にも、全生物種の約76%が絶滅しています。この大絶滅は、ユカタン半島沖に落下した径約12キロの隕石が原因だと特定されています。
 大絶滅は化石の出現が途絶えることでわかります。しかし、その原因を特定するのはなかなか難しいものです。絶滅の直前から期間に特徴的な現象が見つかっていることもあります。一番目のオルドビス紀ーシルル紀の大絶滅は急激な寒冷化、2番目デボン紀後期の絶滅は繰り返し起こった海洋無酸素事、4番目は三畳紀ージュラ紀の境界は、大気中の二酸化炭素濃度の上昇(4倍)と温暖化、海洋の酸性化、などが起こっています。これらの現象と絶滅との因果関係は不明です。
 多くの大絶滅が見つかっていますが、その原因はK-Pg境界以外のものでは、確定されていません。生物は、顕生代以降、地球の多くの環境に進出してきました。海洋(深海から浅海、海表付近から海底)から陸地(平地から高山、熱帯から寒冷地)まで、多様な環境に多様な生物種が広がってきました。それらの生物種を大量に絶滅させるのは、なかなか難しいことになります。隕石衝突のような天変地異のようなものがあれば、それを主原因にして考えればいいのですが、隕石の衝突が検証されているのは、K-Pg境界だけです。


Letter■ 新型ウイルス・研究を進める

・新型ウイルス・
札幌の雪まつりを終わりました。
雪まつりがニュースでも取り上げられることが
少なかったようでした。
新型コロナウイルスのニュースが
主流となっているせいでしょうか。
中国では多くの人が死亡しているようで、
SARSの死者数を越えたようです。
今回のウイルスは、感染力が高いこととと
潜伏期間が長いのが特徴のようです。
その特徴が今回の流行と封じ込めを
難しくしているようです。
3月には夫婦で横浜と京都に出かける予定なので
今後の動向が心配です。

・研究を進める・
大学の後期の成績評価も終わり、
入試の第一陣も終わり、あとは判定作業となります。
2年生、3年生は実習の準備がはじまり、
4年生は卒業の準備です。
実習を担当しているので、落ち着かないところもあります。
時間が一番ある時期でもあるので、
研究を進めていきたいと思っています。