生命の歴史
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Essay■ 2_161 ムカワリュウ 2:手取層群
Letter■ 残念・冬に向かって
Words ■ 秋も残り少なくなってきました


(2018.10.25)
 もっとも有名な恐竜はティラサウルスでしょうか。北米大陸で主に見つかっていました。20世紀末あたりから、日本や中国でも見つかってきました。それらの発見で、ティラノサウルスのルーツは、アジアであることがわかってきました。


Essay■ 2_161 ムカワリュウ 2:手取層群

 1978年の岩手県でのフタバスズキリュウの発見以降、1980年代になると、熊本県や群馬県でも、恐竜の化石が次々と発見されてきました。石川県・富山県・福井県・岐阜県にかけて広く分布する手取(てどり)層群という地層が注目されていました。
 手取層群は、中生代のジュラ紀中期から白亜紀前期(約1億8000万年〜約1億2000万年前)にかけて堆積したものです。この時期、日本列島は、まだ大陸の一部になっており、ユーラシア大陸の縁に位置していました。手取層群からみつかっていた植物化石は、高緯度地域の温暖で湿潤な環境で育つものでした。
 1999年、福井県の手取層群から見つかった、1本の歯の化石の記載報告が出されました。この歯の化石は、肉食の恐竜のティラノサウルスの仲間のものということがわかりました。
 ティラノサウルスは、北米大陸で立派な化石が多数産するので有名です。ティラノサウルスの仲間は、白亜紀の終わりの北米大陸で広く繁栄していました。最も古い化石は、白亜紀後期までしか遡りませんでした。北米大陸で、独自に進化していた可能性もありました。
 石川県の手取層群からも、類似のティラノサウルスの仲間の化石がみつかってきました。手取層群の堆積時には、ティラノサウルスの仲間が多数生息していた環境であたことがわかってきました。
 さらに、類似の肉食恐竜の化石が、中国の遼寧省からも発見されています。ユーラシア大陸の東部には、ティラノサウルスの仲間が広く生息していたことになります。北米大陸でティラノサウルスの仲間が繁栄していた白亜紀後期よりずっと以前、白亜紀前期には、ユーラシア大陸ですでに出現していたいたことになりました。
 白亜紀後期初頭、アジアと北米両大陸が陸続きになったことがわかっていますので、その時、ティラノサウルスたちは北米大陸に渡っていったと考えられるようになりました。
 現在では、日本では、恐竜化石の産地は、15都道府県で30地点以上あります。今回、北海道芦別市で2016年に見つかった恐竜の化石は、ティラノサウルスの仲間の化石でした。地層は、手取層群より新しい白亜紀後期(8630〜8980万年前)の地層からでした。その詳細は次回としましょう。


Letter■ 残念・冬へ向かって

・残念・
先週末、道南へ調査にでかけました。
今回の調査は、好天に恵まれました。
秋の盛りの素晴らしい景色の中、
3日間かけて、道南で野外調査をしました。
天気と景色は最高だったのですが、
調査の成果は今ひとつでした。
予察で見かけていた地層を調査したのですが
思っていたほどのものではありませんでした。
もう一つ、もしかしたらと思っていたものがあったのですが、
そちらは変成作用を強く受けていたので、
やはり目的にはかないませんでした。
なかなか、こちらの思っているように
自然は胸襟を開いてくれないですね。

・冬へ向かって・
調査から帰ったら、急に天候が荒れてきました。
冷え込みはそれほどではないのですが、
風が強く、雨も混じっています。
これでわが町の、紅葉も一気に終わってしまうのでしょうか。
雪虫は、わが町で大量発生は見れませんでしたが、
道南でみることができました。
雪虫をみると、秋の終わりを感じます。
先日、自家用車を冬タイヤにしました。