生命の歴史
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Essay■ 2_131 ハビタブル・トリニティ 5:生命誕生の条件
Letter■ 初夏なのに・地質学
Words ■ 壮大は学問分野を超える


(2015.06.18)
 シリーズの最後に、第二の地球が存在する可能性ですが、これがなかなか大変かもしれません。丸山さんたちの提示されたハビタブル・トリニティは、いくつかの厳しい条件をクリアしなければ、生命は誕生しないと考えられます。


Essay■ 2_131 ハビタブル・トリニティ 5:生命誕生の条件

 さて、このシリーズの最後として、地球の生命から学ぶべきことをまとめておきましょう。丸山さんたちは、初期的な大陸(列島)の地溝帯で火山活動が激しい場を提案しています。地球生命の誕生の場は、これまで深海底の熱水噴出孔が有力だったのですが、ハビタブル・トリニティを考えると、より陸地に近い環境が適していると考えています。地溝帯では固有の火山活動が起こっており、生命誕生や維持に必要な栄養素がそろいやすいと指摘しています。これは、今までにないアイディアです。
 また、現在の太陽系がの惑星探査で見つかっている惑星系には、大きく3つのタイプがあります。巨大ガス惑星が太陽に近いところにある(ホット・ジュピター)、遠いところにある(クール・ジュピター)、ガス惑星のない惑星系(ジュピター・レス)の3つです。
 ホット・ジュピターでは、地球型惑星は氷惑星の位置で形成されたものがハビタブル・ゾーンに移動するので、大量に水を持ってしまいます。大量の水は、ハビタブル・トリニティを満たしにくくなります。ジュミター・レスでは、地球側惑星は太陽に近づきすぎて、ホット・スーパー・アースになっていきます。クール・ジュピター・タイプだけが、ハビタブル・ゾーンに地球型惑星ができます。ただし、その惑星は水の量が少なすぎて生命誕生には適さないようです。ほどよい水の量の惑星は、外側から移動してきたものだと考えてます。それも少しはあるだろうと考えています。かなか難しい条件なので、地球型惑星で地球程度の水は彗星の衝突で水を供給するという可能性も指摘しています。
 生命誕生のためいは、いくつかの厳しい条件をくぐり抜ける必要がありそうです。ハビタブル・ゾーンに、適切な大きさの惑星として、大気を保持し続けて、なおかつ多すぎない水の量をもっていなければなりません。この初期条件を満たすことが、生命の星になる重要な条件になります。こ
 生命誕生にいたる道は、なかなか険しいようです。ただし、その条件さえ満たせば、かなりの可能性をもって生命が誕生しそうです。また、条件を維持することも、それほど難しいことではなさそうです。
 陸地(列島)が形成されれば、生命誕生の場が生じ、誕生することでしょう。陸地が広がると、地球の環境は非常に多様になります。誕生したた生命は、多様な環境で、生物の多様が起こります。
 丸山さんたちは、生命誕生の場が初期地球だけのものでなく、現在の地球にも存在するのではないかと考えています。日本のある場所で、不思議な化学反応をしている生物がいることを発見しています。まだ途上の研究ですが、このような生物が現在生まれている生物だとしたら、私の生命観、進化観は大きく変更が迫られます。丸山さんたちの研究が、今後どのような展開を見せるかなかなか楽しみです。


Letter■ 初夏なのに・地質学

・初夏なのに・
YOSAKOIも終わりました。
6月も中旬になってきました。
春から6月の初夏にかけても、
晴天の日が少なく思えます。
本来はこの時期は、
雪国ではもっと快適な時期になるはずなのですが、
曇っていたり、風が強かったり
北海道らしい快晴の心地よい日が
あまりに少なく思えます。

・地質学・
地質学の話題のうち、火山、地震、津波、地滑りなど
人の命や財産を危険にさらされるものは、
メディアにも大きく取り上げられます。
それ以外の成果としては、
自然科学の中でも地質学は
かなり地味な取り上げ方しかされないようです。
恐竜の化石などは、花形の分野になっていますが、
しょっちゅう珍しい化石が
発見されるわけでもありません。
化石も、科学的重要性も考えると、
話題として取り上げられる頻度は
そうそう多くはないように思われます。
かといって、地質学が科学的重要度が
低いわけではありません。
今回の論文のようば壮大なテーマと
そのインパクトの強烈さは、
地質学の醍醐味を感じさせて
くれるものではないでしょうか。