生命の歴史
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Essay■ 2_130 ハビタブル・トリニティ 4:海水の量
Letter■ マントルへの逆流・天候不順
Words ■ いよいよ初夏ですが、少々天気が


(2015.06.11)
 生命の進化には、惑星として満たすべき条件がさらに必要だといいます。海水の量です。海水が多ければ大陸の岩石できたとしても、陸地ができないことになります。生命の進化には絶妙の条件が必要なのかもしれません。


Essay■ 2_130 ハビタブル・トリニティ 4:海水の量

 丸山さんたちの説では、生命は、軌道条件(ハビタブル・ゾーン)と質量条件を満たした惑星で、なおかつ水、大気、岩石の「ハビタブル・トリニティ」から由来する成分が常に供給され続けるところで、誕生したというものでした。
 複雑に進化した生物であれば、これらの成分を蓄えたり、取りに行ったり、集めたりすることができます。動物であれば、水を飲みに水辺にいくことができますし、植物なら根や実、茎などに養分として蓄えることができます。
 生命の誕生や単細胞のような単純な生物であれば、環境として継続される必要があります。さらに、生命の誕生を考える場合、これらの3つの成分が、常に存在し、いろいろな化合物が繰り返し合成されているところでなければ難しいでしょう。
 「ハビタブル・トリニティ」として成分が循環している環境が生命の誕生の場として望ましいところとなります。生命が誕生した後、進化し続けるためには、このような成分が、継続的に循環している環境が存在しなければなりません。
 地球は、「ハビタブル・トリニティ」を有し、すべての条件を満たしていました。これらの条件は、水の惑星であれば、簡単に満たせるように思われますが、そうでもなさそうです。多くの制約条件があり得ることを、丸山さんたちは指摘しています。
 まず、水惑星として水があり、プレートテクトニクスが働けば、大陸を構成する岩石が形成されます。大陸の岩石である花崗岩や安山岩は、プレートテクトニクスによって海洋プレートが沈み込んだ時、列島で形成される岩石(安山岩)が起源となります。だから水さえあれば、花崗岩は形成されるはずです。
 水は不可欠な存在ですが、水の量が重要になります。
 水が多ければ陸地が形成されません。大陸の岩石があったとしても、海面上にでることがなければ、大陸の成分として海に持ち込まれる量は、非常に少なくなります。大陸があると、岩石の中の成分が風化、浸食、運搬によって、大量に海に持ち込まれるからです。大陸の適切な量が必要なのです。
 太古代(約25億年前)まで大陸と呼べるほどの規模のものはなく、列島があちこち散在する状態だと考えられています。そのような陸地の条件であれば、陸からの栄養素の供給量も少なく、また安定した供給が難しく、生命の進化にはあまり適さなかった環境だと考えられます。生命体を構成するには、栄養素として広い陸地、大陸が必要だったと、丸山さんたちは主張しています。
 地球には常に海が存在していました。しかし、その量(あるいは海水面)は、数100mの範囲で変動してきたと考えられています。6億年前くらいから、海水が「マントルへ逆流」しはじめ、海水量は現在も減っていると考えられています。
 生命誕生や初期の進化では、海洋で多くの時間をかけておこなわれていました。海水があまりに少ないと、その環境を維持するのが難しかったかもしれません。大陸と海水の量にも、ある限られた条件が必要だったと考えられます。


Letter■ マントルへの逆流・天候不順

・マントルへの逆流・
海水のマントルへの逆流は、
これまた丸山さんが思いつかれたアイディアです。
地球は内部に蓄えたエネルギーが外部へ放出され
地球が冷めていく過程でとみなせます。
それを原動力として、地球のいろいろな営みが起こっています。
沈み込み帯の環境も、昔と現在まで変わってきています。
水(実際にはOH)を含んでいた鉱物は
昔は温度が高かったため、
分解され水が抜けてた鉱物に変わっていました。
ところが、温度低下により、水をもったままの鉱物として、
沈み込めるようになりました。
これは量は少しずつですが、
マントルに水が持ち込まれているということになります。
その量は海水面にして数100mであったと見積もっています。
これを称してマントへの海水の逆流と呼んでいます。
これもなかなか壮大な話です。

・天候不順・
5月下旬から6月上旬にかけて
天候が不順で肌寒い日が続きます。
先日も自宅でストーブを焚いてしまいました。
稀なことではありますが、
このような天候は時々あります。
北海道にいると、天候不順がいつも気になります。
冷夏や日照不足にならなければいいと思ってしまいます。
なんといっても北海道は農業が重要な産業ですから
天候不順は非常に気になるところです。