地球の歴史
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Essay■ 2_124 恐竜の生痕 1:新しい生態
Letter■ 恐竜学者・秋が深まる
Words ■ 風の強い日に舞い散る紅葉は美しいが寂しさもひとしおだ


(2014.10.23)
 北海道大学の総合博物館で、恐竜の研究をされている小林快次(よしつぐ)准教授が、今年の夏に報告された論文があります。そこでは、恐竜の新しい生態が報告されています。今回は、新しく発見された恐竜の生態を紹介しましょう。


Essay■ 2_124 恐竜の生痕 1:新しい生態

 今回は、恐竜に関する新しく見つかった生態の話です。恐竜の話をするために、いくつか知っておくべき、基礎的な知識が必要となります。
 まずは恐竜自体のことです。恐竜は映画やニュースになどメディアにでることも多く、恐竜の基礎的な知識は持っていることとでしょう。例えば、恐竜には羽があったりとか、巣がみつかったりとか、恐竜のミイラがみつかったりとか、さまざまなニュースが流れ覚えておられる方も多いでしょう。その中に、恒温性をもつ恐竜もいたという情報もありますが、すべての恐竜が持っていたとは限りません。多くは変温性であったのではないかとも考えられますが、まだその実態は、十分明らかにされているわけではなりません。
 次に時代の話しです。恐竜が繁栄していた時代は、中生代です。中生代は、古い方から三畳紀、ジュラ紀、そして白亜紀となります。今回の恐竜の化石がみつかった時代は、白亜紀後期です。白亜紀後期には、大型の草食獣や肉食獣などがいて、恐竜の全盛期でもありました。トリケラトプスやティラノサウルスのように有名な恐竜がいた時代でした。
 当時も地球の自転軸が傾いているため、季節が生じています。北極では、冬は太陽が登らなくなり、夏は白夜となっていました。北極点には今と同じように北極海があり、海を取り囲んでユーラシア大陸と北米大陸がありました。ほぼ今と似た大陸配置でした。ただし、ベーリング海が開いておらず、シベリアとアラスカは陸続きでした。両大陸の生物は行き来が可能でした。それを示す証拠として、両大陸で似た恐竜化石が発見されています。
 今回の化石発見の場所は、北極圏です。そんな極地に、恐竜はどのように暮らしていたのでしょうか。その様子がわかってきたというのが、今回の発見でした。論文は、「Geology」(地質学という意味)の雑誌に報告されました。その論文から発見の概要を見ていきましょう。
 アメリカ合衆国アラスカ州のデナリ国立公園内で、日本とアメリカの共同研究で、化石の調査がなされました。調査の最初の年に、保存のよい恐竜の足跡の化石が発見されました。発見されたのは、50mの幅、長さが100mもある範囲で数千個も大量に見つかりました。足跡化石は、大量な上に非常に保存状態がよく、足の裏の模様まで残されている状態だったそうです。足跡化石から、いろいろな生態がわかってきました。それは次回としました。


Letter■ 恐竜学者・秋が深まる

・恐竜学者・
かつて日本では、恐竜の化石は発見されておらず、
研究者も少なかったのですが、
最近は恐竜を専門とする研究者も増えました。
その中に海外で経験を積んだ研究者もかなりおられます。
小林さんもその一人です。
現在も海外で野外調査をされて、
今回のような新しい発見をされています。
日本の研究者、研究対象もグローバルになりました。

・秋が深まる・
北海道は一段と秋が深まってきました。
山では何度か積雪があったというニュースが流れました。
紅葉もだいぶ進みました。
風の強い日、雨の日には紅葉した葉が舞います。
北海道の秋は一気に深まり、
通り過ぎていきます。
もう我が家では何度かストーブをたきました。
冬も近くなってきました。