地球の歴史
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Essay■ 2_120 最古の有性生殖 1:生殖戦略
Letter■ 化石の画像・冬到来
Words ■ 驚きの化石、驚きの写真が公開されています。


(2013.11.14)
 最近、昆虫の交尾中の化石が見つかり、ニュースになりました。初めての例ではないですが、このような化石の写真を見るのは、私は初めてでしたので、驚きました。今回は、交尾の化石の意味するところを紹介していきましょう。


Essay■ 2_120 最古の有性生殖 1:生殖戦略

 先日、交尾したまま化石がみつかり話題になりました。私も、この論文の写真をみて驚きました。このような化石は、可能性としてはあるでしょうが、非常に稀なはずです。その上この化石は、非常に鮮明に交接の状況が保存されています。
 この論文の写真は非常に衝撃があったようで、いくつかの科学ニュース誌で取り上げられました。「最古のセックス」というタイトルをつけて、少々センセーショナルに報じたものもありました。
 生物学的に「セックス」とは、生殖行為のことで、雌雄が交接することをいいます。雌雄が生殖をするのは、子孫を残すために不可欠な行為です。雌雄で子孫を残す方法は、有性生殖と呼ばれます。
 生物に雌雄の性別があるのは、いろいろなメリット、デメリットがあります。
 まずデメリットは、少なくとも雌雄の2匹がいないと子孫が残せないということです。どちらか一方では子孫は残せません。雌雄が常に一緒にいれば、出会いに関する問題が解消されますが、通常はばらばらに暮らしていています。生殖時に、雌雄がお互いを見つけて交尾します。相手を探すための仕組みが必要となります。
 相手を見つけるために、鳥はさえずり、セミは鳴き、蛍は光り、蛾はフェロモンをだし、カゲロウは大量発生します。種によっては、生殖にのみを目的としているかのような、不思議な生き方をしているものもいます。
 また、相手を探す時や交尾中は無防備なることも多く、危険の多い行動となります。つまり、有性生殖には、生殖に多大な労力を費やし、危険を背負わなければなりません。
 一方、メリットとしては、雌雄で半分ずつの遺伝子が子に伝わるので、遺伝上の多様性をつくりやすくなります。これが最大のメリットといえるでしょう。子は、親の雌雄から半分ずつ遺伝子を受け継ぎますので、片方の親と遺伝子の半分は同じですが、半分は違っています。遺伝子の交換により、子孫に進化を促すという機能が組み込まれています。複雑な体制や機能を持つ雌雄のある生物は、長生きをするものが多く、進化のスピードは遅くなります。進化の速度を上げる方法として、有性生殖は有効な戦略となったのでしょう。
 自然界には優勢生殖をとる種が多数い、後述の無誠意生殖よりあとにでてきました。そこには、生存戦略上、有利な点があったからです。それは、有害な突然変異を減らす仕組みが働くためだと考えられています。
 有性生殖するために、染色体を半分にする減数分裂がおこり、精子や卵子などの配偶子ができます。配偶子の形成、あるいは生殖時に、有害な変異をもつものは、淘汰されることが多くなり、安全率の高くする生殖になるというものです。
 有性生殖はメリット、デメリットがあり、どのような戦略を取るかによってその割合は違ってきます。今後の繁栄や衰退は不明ですが、少なくとも現在生きている種は、生存戦略上は成功者であるはずです。
 有性生殖に対して、一匹で子孫を残す方法もあり、無性生殖といいます。一つの個体が二つに分裂して増える方法です。同じ遺伝子のコピーをするだけなので、条件さえ整えば、簡単に増えることができます。生殖活動にかかわる労力は、有性生殖に比べて少なくてすみます。非常に単純で有効な子孫を残すシステムでもあります。
 もし増殖中に、ミスコピー(突然変異)が生じたら、以降の個体はすべてそのミスコピーのまま複製されていきます。突然変異がその種にとって不利なものであれば、種の縮小や絶滅を引き起こします。突然変異が有利なものであれば、その個体の進化を促進します。突然変異は諸刃の刃として、進化の手段として組み込まれています。ただし、偶然に頼った進化戦略といえます。でも、生き残っている種が多数いることから、成功している戦略といえます。
 次回は、化石の話しをしていきましょう。


Letter■ 化石の画像・冬到来

・化石の画像・
インターネットが見れる環境であれば、
次の論文の写真をみてください。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0078188
なかなか感動的な化石であることがわかるはずです。
よく保存されていたなあと、感心してしまいます。
横向きに交尾状態のまま埋もれたようです。
なぜこのような化石が残ったかは次回紹介しますが、
インパクトのある化石です。

・冬到来・
北海道は週末からの寒波で
一気に真冬の様相になりました。
一面、雪景色です。
場所によっては除雪車が、早くも出動となりました。
根雪ではなく、すぐに溶けるでしょうが、
多くの車はスタットレスに履き替えたことでしょう。
我が家も、急遽、冬のタイヤに変えました。
久しぶりの冬道なので、
みんなゆっくりと走っています。
北国は、冬、到来です。