地球の歴史
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Essay■ 2_112 生物種数 1:総数
Letter■ 初詣・未知の多様性
Words ■ 謹賀新年 


(2013.01.03)
  明けまして、おめでとうございます。新年も、たんたんとしてエッセイを続けていきます。
  私たちヒトは、地球上に70億を超えて存在しています。ヒトの人口は、実際の数ではなく、推定値です。70億人というのは、ひとつの種の個体数です。では、生物全体の種の数はどれくらいでしょうか。その推定方法を考えて行きましょう。


Essay■ 2_112 生物種数 1:総数 

 地球のヒトは、すでに70億人を超えたとされています。いくつかのデータがありますが、国連の統計では2011年10月31日に、アメリカ国勢調査局では2012年3月12日に70億人を超えたとされています。いずれも推定で、正確な数は知ることはできません。
  ヒトは、この瞬間に生まれ、そして死ぬ個体があるので、正確に数えることも不可能だし、数えられたとしてもある時点での数値にすぎず、次の瞬間には変わっています。ある瞬間の正確な数値に、どれほどの意味があるのでしょうか。いずれにしても正確なヒトの個体数は不明です。
  私たちヒトという一つの種ですら、正確な個体数がわらないのが実情です。では、地球上には、どれくらいの生命がいるでしょうか。個体数は、もう諦めましょう。種類の数であれば、すぐに変動することはないでしょうから、数えることも原理的には可能でしょうし、数える意味もありそうです。
  ところが、実際にやっていくとなると、なかなか大変です。なぜなら、私たちは、まだ実際の種類数を網羅して調べきれていないからです。
  とりあえず、すぐに手に入るデータをみていくと、私たちヒトが属する哺乳類は5000種、鳥類が9000種、爬虫類が5000種、両生類が2000種、魚類が2万3000種です。合わせて、4万4000種です。このあたりは比較的よく調べられていて、正確でもありそうです。今後も新種が発見され、一方では絶滅するでしょうが、何割、何%も変動することはないでしょう。
  以上は脊椎動物でしたが、無脊椎動物になると、種類数は増え、不確かになってきます。節足動物は80万種、軟体動物は11万種、原生動物は3万種、腔腸動物は1万種などとなっていますが、種の記載はまだまだ途上でほんの一部だと考えられています。動物全体で、100万種ほど(約140万種ともいわれています)になります。
  他にも植物は30万種あります。それだけではありません。細菌や菌類などもあります。ただその数はまだ研究が不完全で、どの程度の種数があるかはよくわかっていません。たとえば、真正細菌(細菌、バクテリア)では、正式に発表されているのは約7000種にすぎず、あまりに少なすぎます。既知の種数は全体のほんの数%にすぎないとされています。
  そもそも記載されている種は、ヒトに関わりがあり、見つけやすいもの、大きいもの、特徴があるものが優先されているにすぎず、生物種の全体像はまだつかめていないのです。
  上で種の数は安定しているように書きましたが、今この瞬間にも絶滅していく種、あるいは新種が生まれているはずです。多数の種があれば、その増減の数も少なからずあるはずです。そんな変動があるので、実際の種数ではなく、推定値となります。でも、その推定も単なる想像ではなく、何らかの根拠でなされるべきのはずです。
  ある推定によって、地球上には生物種が870万種がいるとされました。その推定は、どのようにして求められたのでしょうか。それは、次回としましょう。


Letter■ 初詣・未知の多様性

・初詣・
明けまして、おめでとうございます。
どんな正月をお過ごしでしょうか。
我が家は、元旦に初詣をしました。
例年は人ごみを嫌い、2日に初詣をしていました。
田舎の小さな神社なので
2日ならぽつりぽつちと参拝者が来る程度ですが、
さすがに元旦の午前中ともなると、
多数の参拝者が来られていました。
里帰りされている家族づれや
徒歩で参拝に来られる方も多数おられました。
宮司さんと知り合いで、
御札を売られているのも家族の方で知っているので
参拝中に声をかけられました。
小さな社会はそれなりの楽しみもあります。
北海道は大晦日から元旦にかけて、大荒れの天気でしたが、
幸い、わが街は、雪が少しちらつく程度ですみました。
家族でのんびりと過ごした正月となりました。

・未知の多様性・
新年にふさわしい話題がないかを考えましたが、
なかなか思いつかず、いつものようなテーマとしました。
地球は狭いようで広く、まだまだ未知のところがいっぱいあります。
特に海洋は人類にとって広大な未知の領域です。
海洋の環境は多様性も豊富で、
特に見えない微小の世界には、
大きな多様性があるはずです。
その多様性を知るには、まだ至っていません。
未知を探るために、とりあえずはどんな世界なのかを推定し、
その推定を手がかりに、どのような調べ方をするべきかを
考えていくのもひとつの方法かもしれませんね。