生命の歴史
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Essay■ 2_66 成果:コモノート2
Letter■ 若葉薫る・YOSAKOI
Words ■ 北海道は一番快適な季節になりました


(2008.06.05)
  今回は、鈴木理さんらのコモノートに関する研究の成果をみていきます。さて、彼らの研究によって、コモノートの何がわかってきたのでしょうか。


Essay■ 2_66 成果:コモノート2

 コモノートとは、現在はもういない、すべての生物の祖先にあたる架空の生物だと、前回説明しました。今回はもう少しコモノートを詳しく見ていきながら、鈴木理(まさし)さんらの成果を紹介しましょう。
  コモノートとは、環状のDNAを持つ仕組みを持っている生物だということも前回言いました。そもそもコモノートとは、古細菌が、真正細菌(バクテリア)と同じような環状のDNAを持っていることがわかったことから生まれた考え方です。両者が同じ仕組みをもつということは、共通の祖先が環状DNAを持っていたと考えられます。それをコモノートと呼ぼうとして、東京薬科大学の山岸明彦さんによって定義されました。
  コモノートは、概念であって実在するわけではありません。ですから、真正細菌と古細菌の共通性を調べることで、コモノートの実態に迫ろうというのが現在の方法です。古細菌は、近年研究が進められている生物で、情報はあまり豊富ではありません。ですから、古細菌を詳しく調べることが、生命起源の重要な研究となります。
  進化を分子レベルで調べる時、すべての生物が共通にもつRNA(16S rRNAと呼ばれるものなど)を用いられることが、よくあります。そのRNAを分析して、その違いの程度を調べることによって、生物ごとの違いを比べることができます。それを利用して系統樹が描かれています。
  そのような系統樹によると、真核生物(哺乳類はここに属します)と真正細菌の間の、真核生物の枝側に古細菌は位置します。さらに詳しく見ると、古細菌と真正細菌より根本に近い(より初期の生物)ところにあります。
  古細菌と真正細菌の大きな枝はコモノートから直接分かれた枝(系統)だといえます。つまり両者のもととなった共通の祖先コモノートは、両者の中で、根本に近い種類の生物を調べて、共通する性質を持っていたことになります。
  その調べ方は、どのような環境で、それらの生物はより多く繁殖していくかということで調べます。その結果、好熱性、それも超好熱性の環境で育つことが明らかになってきました。このことから、コモノートは、超好熱性であると推定されています。
  さて、鈴木理さんらの成果です。彼らは、真正細菌として大腸菌を、古細菌として沖縄海溝の熱水噴出孔に生息していた超好熱性の古細菌(Pyrococcus、パイロコッカス)を用いました。超好熱性古細菌の遺伝子(ゲノム)を調べ、その中に、特定の転写制御に関係のあるタンパク質(饗宴・飢餓制御タンパク質)を持っていることを見つけました。そのタンパク質の立体構造や、代謝制御の機構を解析した結果、大腸菌と共通点があることが判明しました。
  この機能は、古細菌と真正細菌の両者が持っているので、両者の共通の祖先、つまりコモノートも持っていたとなります。コモノ−トがもつ機能、つまり代謝系の転写を制御する機能は、地球上のすべての生物が持つ原型となると考えられます。これは、生命起源に大きな手がかりとなります。これが、鈴木理さんらが出された成果です。


Letter■ 若葉薫る・YOSAKOI・ 

・若葉薫る・
いよいよ6月となりました。
若葉薫る季節です。
北海道では、日の出が早く、日の入りが遅くなりました。
夏至まで、まだ2週間ほどありますが、
天気がいいと、夜の8時近くまで明るさが残っています。
朝夕に冷え込むことがありますが、
快晴の昼間は暖かくなりました。
次男は半袖のTシャツで
ほとんど一日過ごしています。
肌寒い日があるのでヤッケを着るようにいうのですが、
すぐに脱いでしまいます。
でも、風邪を引かないところをみると、大丈夫なようです。

・YOSAKOI・
初夏の北海道は祭りの季節です。
5月下旬に行われたライラック祭りは終わりましたが、
4日から8日までYOSAKOIソーラン祭りが開催されます。
全国、いや全世界からチームが集まり、踊りを披露します。
我が家では、子供たちの小学校の運動会が週末にあります。
ですから、我が家では、YOSAKOIより運動会が優先します。
子供たちがYOSAKOIを踊るようですから、そちらは生で楽しみ、
本場の方はテレビでの観賞です。
天気が良くなることは祈るしかないですね。


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