生命の歴史
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Essay■ 2_61 オスとメス2:雌雄のパラドックス
Letter■ 自衛・削除の決断
Words ■ やっぱり冬は寒い


(2008.01.17)
  オスとメスによる生殖は、無駄が多く効率がよくありません。しかし、多くの生物は、オスとメスがいます。パラドクスです。このパラドクスは解けるのでしょうか。


Essay■ 2_61 オスとメス2:雌雄のパラドックス

 生物には、単細胞生物がよくおこなうような、一つの細胞が、まったく同じ二つの細胞に分かれる細胞分裂で増える方法(無性生殖)があります。また、同じで種でありながら、オスとメスという違う性質をもつ個体が交配して子孫を残す方法(有性生殖)をとるものがいます。
  有性生殖という生物の生存戦略は、オスとメスが出会い、受精し、卵や子供などの小さい個体を産み、それが成長して大人のオスとメスになっていくという過程をとります。この有性生殖という戦略は、本当に有効な方法なのでしょうか。
  オスとメスによる有性生殖では、まず、一つの個体がもともと持っていた染色体の数(ヒトでは46本)を半分になっていきます。数が半分になりますから、もとの染色体の数は、偶数でなければなりません。この半分になる過程を、減数分裂といいます。染色体が半分になった特別な細胞を、生殖細胞と呼びます。生殖細胞で栄養があり大きなものを卵細胞、小さくで動きやすいものを精細胞と区別されます。
  生殖細胞をもったオスとメスが出し合って、受精をしていきます。受精すると、二つの染色体が合わさって一つになります。この時、染色体の数は2倍になるので、もとの数にもどります。結果として、親と同じ数の染色体をもった子供が生まれることになります。
  さてこの有性生殖には、いくつもの問題があります。異性を探したり、交尾をしたりする繁殖のための行動には、時間もエネルギーを使わなければなりません。交尾中は無防備となり、捕食者に食べられる危険性もあります。また、卵や小さい個体が成熟するまで、時間がかかり、危険性が増大します。このように、有性生殖は、手間も時間もかかり、ロスが多い戦略といえます。
  オスは生殖には不可欠な存在ですが、子孫を増やすためには、子供を産まないオスは、繁殖の効率が悪くなります。もし、同じ数の無性生殖をする個体のグループと有性生殖をするする個体(オスとメスが半分ずついるとする)グループがいて、同じ条件で子孫を残していくとすると、無性生殖の方が倍のスピードで増えることになります。
  このような効率の観点から生殖を見たとき、有性生殖はロスが多いといえます。しかし、有性生殖とい戦略をとる生物が多数いて、繁栄もしています。これは、非常に矛盾したことになります。これを生物学では、「有性生殖のパラドックス」と呼んでいます。
  実は、このパラドックスは、まだ完全には解かれていません。説明のためのいくつかの仮説があります。
  例えば、無性生殖では有害な遺伝子が蓄積していき、やがては繁殖に支障をきたすという「マラーのラチェット」と呼ばれるものがあります。それと関連がありますが、「コンドラショフの効果」というものもあります。有害遺伝子が、ある一定数を超えると急に悪影響が出たり、生存不可能になる場合もあるが、有性生殖では、確率的に限界の一歩手前で留まるというものです。
  これらの仮説には、研究者も疑問を呈しています。それに、少々わかりづらい、つなり納得しづらい説だと思います。もう少し単純でわかりやすい説明がないでしょうか。それは、次回としましょう。


Letter■ 自衛・削除の決断 

・自衛・
先週のエッセイでは、北海道では暖かい冬と書きましたが、
先週末あたりから、冷え込んできました。
今までの暖かかった分を取り返すかのように
冷え込んでいます。
雪はまだそれほど降っていませんが、
寒さは、例年なみになってきたようです。
寒さがひどくなると、省エネを大学全体でおこなっているため
研究室も、なかなか温まならくなりました。
手がかじかみながら、仕事をすることになります。
しかし、耐えられない寒さの直前という
微妙な調整がなされているようです。
重ね着などで、自衛するしかないかもしれません。

・削除の決断・
メインで使っているパソコンのハードディスの容量が
残り少なくなってきました。
もともとあったハードディスクの容量は、
150GBですが、現在、5GBしか残っていません。
少々不安な状態です。
なぜなら、進行中の仕事関係のファイルや
ホームページなど毎日使っているものは、
ハードディスクにおいておきたいのです。
しかし、それらは、毎日確実に増えていきます。
それに備えて、余裕がないといけません。
それに大きなファイルを操作するためにも、
ハードディスクに余裕がないと
動作が遅くなります。
今までも、いろいろ削って減らしてきたのですが、
通常の整理では、ムリになってきました。
今まで残してきたもので、使わないものは、
この際、思い切って削除するしかないようです。
もちろん幾重にもバックアップはとります。
さて、いよいよ削除の決断しましょうか。


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