生命の歴史
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Essay■ 2_53 生命の起源6:現在の生物から
Letter■ 古細菌・進歩
Words ■ 最近見つかった古細菌


(2006.12.21)
  生命の起源を、現在生きている生物から探る方法を紹介しましょう。古細菌という生物がどうも手がかりとなりそうです。


Essay■ 2_53 生命の起源6:現在の生物から

 現在生きている生物から、生命起源を推定する方法は、いくつかあります。
  分子レベルで比較する方法があります。すべての生物がもっている共通の分子から、その配列の違いを比べることによって、分類をしていきます。もしその物質が進化の過程で、単純なものから複雑なものになってきているのであれば、その複雑さの程度から、生物の進化の程度を定性的に見積もることができます。比較生化学とも呼ばれる方法です。
  現在の真核生物がすべてもっている5SリボゾームRNA(5S rRNA)という核酸塩基配列を解析していきます。5SリボゾームRNAのように十分複雑であれば、この配列の違いは、生物としての変化の程度を示しているとみなせます。そして、いつごろ祖先から分岐したか、進化したかを計算で推定すことができます。まあ、真核生物だけですので、生命誕生にはこの物質は利用できませんが、真核生物の出現は、20億年前という値が出てきています。このような分子を進化の時計代わりに利用するものを、分子時計と呼んでいます。
  もっと、わかりやすものとして、現在の生物を分類していく方法です。多くの生物の系統関係を調べ、一番祖先に当たると思われるものを、現在の生物から見つけ出します。その生物が、最初の生物にふさわしいかどうかを検討していきます。もしその生物が、初期地球で最初に誕生した生物として問題がなければ、それと似た生物が、最初の生物の可能性がでてきます。その生物がたくさん手に入るなら、どのような条件を好むのか、どのような条件まで生存できるのかなどを、実験によって確かめることができます。
  系統からみると、最初の生物の候補として、非常にシンプルな生活様式をもつ古細菌があげられます。古細菌には、好熱古細菌、メタン細菌、高度好塩菌など、特異な生化学的特徴をもつ細菌の仲間です。現在の生物にはとうてい住めない環境でしか生育できないようなものが、たくさん見つかってきました。現在では、特殊な環境にだけではなく身近な環境にもよく見られる生物であることがわかってきました。古細菌の名前は原始地球に最初に登場した細菌の直系の子孫とされたことに由来しています。
  現在では、全生物は、古細菌、真正細菌、および真核生物の3つに大きく分類されるようになってきました。これは以前の5界分類よりもっと上の分類体系になり、ドメインと呼ばれています。
  古細菌は真核細胞と類縁性があることがわかってきました。それは、古細菌に、真正細菌が共生してミトコンドリアや葉緑体になり、真核生物になったという細胞共生説とよばれるものです。この説も、証拠がいくつも見つかり、認められるようになってきました。
  最初の生物は、深海の中央海嶺の火山にある熱水噴出孔や、そこに噴出メタンガスを利用するような古細菌ではないかと考えられています。


Letter■ 古細菌・進歩 

・古細菌・
古細菌は、最近見つかりました。
最近とはいっても、1977年のことですが。
ウーズとフォックスは、それまで生物が、
真核生物と原核生物に分類されていたのですが、
古細菌の発見によって、真核生物、真正細菌、古細菌の
3つに分けるべきであると主張しました。
その報告が、古細菌の重要性をはじめて世に示したものです。
古細菌の研究が進み、メタン細菌の仲間は、
1980年代に大量に発見されました。
現在も研究中で、その系統関係もたびたび変更されています。

・進歩・
12月もあと少しとなりました。
私は、今年中にすべきことが、まだ終わっていません。
できないにしても、可能な限り仕事を進めておく必要があります。
休むことなく、気を抜くことなく、仕事をしなければなりません。
しかし、25日から母が我が家にきます。
1月1日まで滞在します。
温泉に連れて行ったり、宿泊する予定もあります。
授業も27日まであります。
ですから、年末は忙しくなります。
だから、じっくり仕事をしている余裕がないのです。
このような状態は、毎年のことです。
ということは、私は進歩していないということでしょうかね。


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