生命の歴史
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Essay■ 2_42 生物の分類1:2からスタート
Letter■ 歴史を映しこむ・体調に注意を
Words ■ そろそろ移動の準備をば 


(2006.03.16)
 生物には、いろいろな種類があります。だれでも、多様な生物を見ると、このように豊かな自然への驚きと、なぜそのような多様さが生まれたのか不思議な思い駆られます。そんな生物をどのように分けるかが、今回のエッセイの話題です。


Essay 2_42 生物の分類1:2からスタート

 古くから人は、いろいろな種類のある生物を知り、分けてきました。記録に残っているものとしては、紀元前4世紀ころアリストテレスが、最初に分類学というものを体系的に確立したと考えられています。
 アリストテレスの分類は、私たちにも分かりやすい、2界分類と呼ばれるものでした。生物を、植物界と動物界の2つの界に区分したのです。
 植物とは根をおろし移動しないもの、動物とは移動して食べ物をあさるもの、というものでした。これは、誰にでも分かりやく、アリストテレスの多くの学問体系がキリスト教に採用されたこともあったため、この2界分類の方法が長く用られてきました。
 2界分類の方法は、実は19世紀まで、採用されてきました。19世紀になって初めて、2界分類に疑問がもたれるようになったのですが、その背景には、生物を詳細に観察するための顕微鏡の技術の進歩がありました。
 最初の顕微鏡は、16世紀終わりに、オランダで発明されたとされています。単純な顕微鏡を利用した観察でしたが、17世紀には生物学が大いに発展しました。
 18世紀末から19世紀初には、数学者のオイラーや光学者のドロントなどの研究によって、理論にもとづいた精密なレンズが設計され、収差の少ないレンズができるようになりました。19世紀中ごろには、ドイツのツァイスの工場で高性能の顕微鏡が作られるようになりました。
 高倍率でも鮮明に観察できる顕微鏡によって、生物を細胞レベルで観察できるようになりました。植物と動物は、多数の細胞が集まった多細胞生物というグループであることがわかりました。それ以外にも、一つの細胞だけで生きている単細胞生物がいることも分かりました。
 単細胞生物には、2界分類のような単純な分け方では、植物か動物かどちらに分けていいか判別できないものがあることに、科学者たちは気づきはじめました。
 単細胞生物を、顕微鏡によって細胞の中まで詳しく調べると、細胞内に核膜につつまれた核をもつものと、もたないものがありました。細胞内に核膜につつまれた核をもつものは真核細胞、核膜につつまれた核をもたないものは原核細胞と呼ばれます。植物や動物などの多細胞生物は、真核細胞の集合体でした。
 単細胞生物は、原核細胞からできている原核生物と、真核細胞の原生生物に区別できました。そして最終的に、バクテリアとシアノバクテリアなどの原核生物をモネラ界、原生生物はそのまま原生生物界として、新たが界が区分されました。
 新しい界が加わるということは、動物や植物に匹敵するような多様性を持つグループが見つかったということを意味しています。
 さらにその他にも、原生生物は、ミトコンドリア、葉緑体、進化した鞭毛などの特異化した細胞構造、つまり細胞小器官をもたないという特徴を持っていました。真核生物はすべて、ある程度の細胞小器官をそなえていることが分かりました。原生生物と真核生物には、どうも核のあるなしと共に、さまざまな特徴の違いも見つかってきたのです。
 このような生物の細部の構造を調べ、分類を詳しくしていくことによって、生物の進化につながるような情報も同時に得られるようになってきたのです。


Letter■ 歴史を映しこむ・体調に注意を 

・歴史を映しこむ・
生物は非常に多様で不思議なものがいます。
その一生は、信じられないくらい奇妙奇天烈なものがいます。
単純な分類で区分しきれない個性が、そこにはあります。
最終的にその区分しきれないものは
種というレベルまで、個性として持ち続けのです。
そのような個性は、あるときは進化による、あるときは退化による、
あるいは特化などと呼ばれることもあります。
しかし、なぜそうなったかの本当のところは、分かっていません。
研究者でも意見が一致しないことがたくさんあります。
生物は、長い時間の進化の後に今の姿になりました。
ですから、現在の姿に至る道筋(歴史)があったことは確かです。
しかし、私たちの科学が解き明かしているのは、
ある時点での一番もっともらしい歴史に過ぎないのです。
新しい分類方法が生まれたとき、最初は少数派ですが、
新しい証拠が出てくると多数派に変わりることもあります。
生物の分類の歴史とは、人間の科学や考え方の歴史をも
映し込んでいるのかもしれませんね。

・体調に注意を・
北海道は最近は不安定な天候で、
ここ数日寒く雪がちらつく日でしたが、
昨日あたりから暖かくなってきました。
今年の冬は寒さも雪もひどく
気温変化が激しいので何度も体調を崩しました。
これからは、卒業式、入学式、送別会、歓迎会など
行事の多い時期となります。
私は風邪のためにまだ不調ですが、
とりあえず今日、所属している学部の送別会があります。
私の他に2名が、他学部にできる新学科のスタッフとして配置転換になります。
その学科は小学校教員養成の学生数50名の
私立大学としては小さな定員の学科です。
昨年秋からこの学科設立のためにいろいろ忙しい思いをしましたが、
4月からは、学生を迎えての本番となります。
旧所属での仕事、新しい所属での仕事が混在した状態となります。
体調を崩さないように注意したいと思います。
皆さんも、移動の季節で宴会などもあるでしょうから、
体調にご注意ください。


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