生命の歴史
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Essay■ 2_32 地球外からの危機
Letter■ ないものねだり・かぜ
Words ■ 危機は思わぬところから 


(2004年2月5日)
 生命絶滅の危機は、何も地球内だけにその原因があるわけではありません。地球外にも原因があります。そのなかで、絶滅との因果関係がわかっているものは、案外少ないです。そんな地球外の原因のいくつかが、地球環境を大きく変えたり、重大な絶滅を起こしていました。


Essay 2_32 地球外からの危機

 これまでの生命シリーズで、生命のタフさについてみてきました。さまざまな地球の変化が起こり、それが生命の住む環境の変化となり、生命の絶滅につながりました。しかし、その大絶滅が、生命の進化を促したこともありました。
 もし、このような急激な環境の変化、言い換えると地球の変化がなければ、今のような生命は生まれなかったでしょう。哺乳類や私たちヒトも生まれていたかどうかわかりません。まったく違った生命のグループができたいたかもしれません。生命というものは、地球と密接に共生しているのです。
 生命は、地球の影響を受けるだけでありません。生命が地球に変化を起こしたこともあります。いちばんよく知られているのが、大気中の酸素を生命がつくったということです。酸素が、やがては上空でオゾン層となります。オゾン層は、紫外線をさえぎり、海だけでなく、陸地にも生命が住める環境を用意しました。このように、生命は地球に生命圏とでもいうべき、重要な位置を占めるようになってきました。生命は、地球との共生にとどまらず、地球の重要な構成要素となったのです。
 ところがです。地球の環境を大きく変える要因が、地球の外にもあったのです。それも、ひとつだけでなく、いくつもものがあります。ひとつは太陽の輝きの変化です。もうひとつは、隕石の衝突です。三番目が地球の公転や自転の変化です。他にも要因があるかもしれませんが、今のところわかっているのは、この3つです。これらを少しみてきましょう。
 まずは、太陽の輝きの変化についてです。太陽は水素の核融合によって輝いています。太陽ができてすぐのころは、水素が多く、なかなか効率よく核融合ができません。核融合ある程度進んでくると、ヘリウムが多くなって、核融合をしやするくなります。つまり、太陽は時間が経過するとともに、より明るく輝くことになります。太陽ができたころに比べて、今は20%ほど明るくなっているという推定があります。
 この推定によりますと、太陽に暖められている地球は、誕生のころから、少しずつ暖かくなってきたことになります。20%ほど太陽が暗かったときの地球は、氷河期になってしまうほどの、温度と計算されます。ところが、今まで見てきた地球の歴史からわかるように、38億年前ころには海があり、その後もずーっと海が地球の表面にはあったことが地層の証拠として残っています。氷河期が訪れたこともありますが、それは一時的なもので、地球の表面には常に海がありました。これは、太陽の明るさから推定され、計算されることことと矛盾しています。このような矛盾を「暗い太陽のパラドックス」とよばれています。
 このパラドックスは、原始の地球にたくさんあった二酸化炭素が解いてくれると考えられています。太陽が暗いときは、地球の大気の主成分であった二酸化炭素が地球を暖めていました。いわゆる二酸化炭素は温室効果を大いに発揮していたのです。太陽が明るくなった今は、二酸化炭素が少なくなって暖める効果が減っています。
 かつては、二酸化炭素の多い大気が、地球の営みによって二酸化炭素が石灰岩のような岩石になり、後には生命の活動で二酸化炭素がさらに石灰岩へとされていきます。やはり、地球と生命が定常的な地球環境を維持してきたともいえます。
 次の地球外の要因である隕石についてです。隕石は、よく地球に落ちています。それが地球の環境を変えるほどのことがあるのかと思いますが、それがあったのです。小さな隕石では、それほど大きな変化は、地球に起こりません。ところが、隕石が大きくなると、落ちたところにはクレーターができます。クレーターは隕石の落ちるスピードと質量が増えるにつれて、大きくなります。
 大きな隕石は、地球の環境を瞬間的に大きく変化させます。地球環境が大きく変化すれば、生命の大量絶滅が起こります。もちろん大きな隕石が落ちてくる頻度は小さいなものです。でもゼロではありません。45億年という長い時間があれば、何度かそんな事件があってもいいはずです。でも、生命の歴史で隕石が原因の絶滅は、ひとつだけわかっています。それは、中生代と新生代の境界での事件です。K-T境界と呼ばれているものです。K-T境界については、次回詳しくみていきましょう。


Letter■ ないものねだり・かぜ 

・ないものねだり・
「暗い太陽のパラドックス」は、
カールセーガンというアメリカの研究者が考えたものです。
でも、これは、太陽の核融合モデルに基づいたある仮説です。
証明されたものでもありません。
だから、この「暗い太陽のパラドックス」につていの上の説明は、
あくまでもひとつの説明にすぎません。
うますぎる話のようにも思えます。
いくつも疑問がわいてきます。
まず最初の疑問。
なぜ、最初に地球は水のある条件になっていたのか。
次の疑問。
なぜ、二酸化炭素は太陽の明るさに呼応するように規則的に減っていったのか。
第3の疑問。
それでもなぜ、氷河期などが起こっているのか。
第4の疑問。
今後どうなっていくのか。
少ない二酸化炭素では、太陽の熱さに対処し切れません。
やがては、金星のように灼熱の星となっていくのでしょうか。
これらの疑問のいくつかには答えができています。
でも、歴史の問題には、「本当の答え」はなかなかでないのです。
データが増えれば、新たな考え方がでることだってあります。
だから、より「もっともらしい答え」は手に入りますが、
「本当の答え」は残念ながら、ないものねだりなのでしょう。

・かぜ・
皆さんはかぜにかかってないでしょうか。
我が家では次男が現在、かぜにかかっています。
幸いインフルエンザではないようです。
でも、長男の幼稚園ではインフルエンザの子供数人でているようです。
いつ、我が家を襲うかはわかりません。
予防接種はしていません。
だから、もしかかったら、体力で直すしかありません。
予防や投薬も必要かもしれません。
私は、可能な限り自力で直す主義です。
でも、年齢とともに体力や抵抗力は衰えていきます。
だから、いつまでできるかわかりませんが、
続けていきたいことです。


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