生命の歴史
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2_9 最上の生活様式とは

(2001年3月29日)
 どのような生物でも、現在自分が置かれた環境に適応します。そして、その環境で生活できるようになっています。その生活様式が最上のものかどうかわかりませんが、とにかく生きていけます。では、その環境に最上の生活様式とは、どんなものでしょうか。答えはあるのでしょうか。

 「2_7 炭素を中心に」で地球生命は、炭素を積極的に利用していることを示しました。地球の大気のなかでは、炭素は二酸化炭素の形で存在します。ですから、生命は二酸化炭素から炭素を取り出し、有機物にして利用します。その二酸化炭素から有機物にいたるプロセスの代表的なものが、光合成と呼ばれるものです。光合成は、植物が担っています。
 植物は、陸地の広い部分を覆うほど発展をしています。しかし、光合成は地球の環境で最適な生活様式なのでしょうか。二酸化炭素は、現在、地球の空気には0.03%しかない成分なのです。植物は、少ない資源を有効に利用しているのです。しかし、別の多くある資源を有効に利用したほうが、効率的で生きやすいはずです。
 動物や植物も「呼吸」には酸素を利用しています。酸素は、空気の主要成分です。ですから大量に簡単に手に入る資源を使っているわけです。動物は、植物がつくった大量の有機物を、ちゃっかり利用しています。動物が一番、環境に適応している、あるいは一番楽な生活様式をもっているのかもしれません。
 では、植物はなぜ、そのような少ない二酸化炭素という資源を苦労して利用しているのでしょうか。実は、量は少ないのですが、二酸化炭素は地球上のいたるところに、一定の量が存在します。常に新たな二酸化炭素が、呼吸や火事、火山などで供給されているため、ある日突然枯渇することはありません。二酸化炭素は、少ないけれども、安心して利用できる資源なのです。
 二酸化炭素から有機物にするにはエネルギーを必要とします。植物は、光合成ためのエネルギーも、無尽蔵にあるものを利用しています。そのため光合成は、エネルギーに関しても安心な方式なのです。そのエネルギーの供給源が太陽なのです。太陽は、枯渇することのないエネルギーです。
 植物は一見少ない資源を細々と利用しているいるようなのですが、実は地球では、非常に有効な生活様式なのです。ですから、地表にあんなにも植物が繁栄しているのです。