生命の歴史
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2_7 炭素を中心に


宇宙からみた桜島
(August 10, 1995)

(2001年3月15日)
 私たち地球の生命は、さまざまなものがいます。でもその化学的な性質は、すべてに共通した性質があります。つまり炭素という元素を中心とした生物なのです。では、なぜ炭素なのでしょうか。炭素以外の元素の生物はありえないのでしょうか。

 私たち地球の全生命は、有機物からできてます。有機物とは、炭素を中心とした化合物です。炭素は、地球の原料物質として比較的多い元素でした。炭素は、元素として4本の腕を持ち、他のイオンと結合することができます。そして、6個集まって環のかたちになり、いくつもの環が連結することもできます。ですから、さまざなま化合物をつくるのに都合のよい元素といえます。このように炭素を中心として生物を、炭素型生物といいます。
 では炭素だけが生命に適した元素でしょうか。4本の腕をもってイオンとして結びつくことができる元素であれば、周期律表をみればいいわけです。炭素は4本の腕を持つ元素としては、周期律表では一番上に位置します。炭素(C)と同じ列(IVB族)としては、すぐ下に珪素(Si)その下にはゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)があります。ゲルマニウムやスズ、鉛では地球では存在度が少なすぎて、生命の材料としては適しません。それと、周期が下になるほど重くなります。珪素は地球にたくさんある元素で、炭素より多くなります。
 ではなぜ、珪素を中心とした生命が誕生しなかったのでしょうか。それは、反応する温度によると考えられます。炭素の化合物の多くは、0から100℃で合成されます。つまり、地球の表層の温度の範囲で、さまざまな化合物をつくることができるわけす。ところが、珪素の化合物は100℃以下の低温では、ほとんど化合物が形成されません。多くの鉱物は、数百度から千数百℃の高温で形成されます。ですから、地表では、マグマが活動するような地域やマントル付近の高温の部分でしか珪酸塩化合物ができません。ですから、もし生命がいたとしても、われわれには観察できないかもしれません。それに、火山地帯にいたとしても、火山活動が終われば死に絶えてしまい岩石となります。さらに、その代謝の仕組みや、生活形態があまりに異質すぎて私たち炭素型生物には認知できないかもしれません。
 地球の初期のマグマオーシャンには、珪素型生命が活発に活動していたかもしれません。どうすればそのような生物を私たちは、知ることができるのでしょうか。今のところ知るすべはありません。想像するしかありません。


http://www.jpl.nasa.gov/radar/sircxsar/sc-jima.gif