地球の歴史
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Essay■ 1_203 天体衝突の頻度は 2:クレータ年代学
Letter■ 祝賀会・マスク着用
Words ■ 春めいてきました


(2023.03.16)
 天体衝突によって、クレータが形成されます。地表の形成年代とクレータの数を調べることで、その地域のクレータ密度がわかります。そこから時代ごとの衝突頻度を見積もることができます。

Essay■ 1_203 天体衝突の頻度は 2:クレータ年代学

 隕石の落下でできたクレータは、火山噴火でできるクレータとは異なっているので、見分けることができます。ただし、クレータを探すことができるのは、多くは大陸地域のもの主となります。
 大陸地域は、常に侵食や風化で古い地形は消えていき、火山活動や造山運動で上書きされていきます。古いクレータほど、消えていく可能性が高くなっているので、その効果を考慮にいれなければなりません。さらに、大陸では、長期に渡り寒くなると氷河に覆われ、古い地形は消されてしまいます。全地球凍結と呼ばれる、地表全体が氷に覆われる時代が、6億5000万〜6億4000万年前と、7億3000万〜7億年前に、少なくとも2度起こったことがわかっています。これ以前のクレータの多くは、消された可能性があります。
 海に落下した隕石が海洋底にクレータを形成しても、海洋地殻はプレートともに移動して、やがて海溝に沈み込みます。古いものでは2億年前のものしかありません。海洋地殻には古いクレータはなくなっています。
 このような理由から、全地球的を対象にして、クレータの数と地表の時代から、衝突の頻度を探るのは、どうしても不正確になってしまいます。ではどうすれば、正確な値が求められるでしょうか。
 大気のない天体では、表層での侵食は起こりませんし、プレートテクトニクスが働いていないところであれば、古いクレータも残っているはずです。問題は、その地域の形成年代をどうして探るかです。
 幸い月は、探査が進んでおり、試料も回収され、年代測定された岩石も多数あります。そこから、地域ごとの形成年代が比較的よくわかっています。月のクレータは、日本では月の観測衛星「かぐや」の撮った詳細が画像があります。その画像から、精密に調べることが可能になります。月の表層の形成時期と、クレータの数から、時代ごとの衝突頻度、またサイズごとの衝突頻度も調べることができます。
 その関係(相関係数や比例定数)が決まれば、関係を逆に利用することもできます。ある地域で、クレータのサイズごとの頻度を決めることができれば、その地域の形成年代を推定することができます。このような方法はクレータ年代学と呼ばれています。詳細な画像がえられている天体では、それぞれの地域にクレータ年代学が適用されています。そこから、天体の形成史が考えられています。
 かぐやの画像を用いた研究が報告されていますが、次回としましょう。


Letter■ 祝賀会・マスク着用 

・祝賀会・
大学は、今週末に学位記授与式があります。
一度に開催すると、人数が多くなるので、
学部学科を3つに分けで実施されます。
その後学科で、学位記をそれぞれに手渡ししていきます。
昨年まではそれで終了でしたが、
今年は、ホテルを会場を借りて
祝賀会が実施されることになりました。
やっとここまで日常が戻ってきたかと思います。
ただし、祝賀会では飲食ができないままです。
一堂に会することもなく3つに分散したまま実施されます。
以前のような状態にもどるには
あと少し時間が必要かもしれません。

・マスク着用・
マスク着用のルールは緩和されましたが、
今後、どうなるのでしょうか。
最初にマスクはずすのは勇気がいります。
人混みでは着用し、人の少ないところや
屋外では外しているということから
はじめていくことになりそうです。
しかし、その頃には四国へと旅立っているのでしょうが。