地球の歴史
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Essay■ 1_178 大陸地殻の新知見 3:初期は小さな大陸
Letter■ 買い物・集団感染
Words ■ コロナ禍には我慢して日々を過ごすしかない


(2020.06.04)
 地球の創成期には大陸はありませんでした。時代とともに大陸が形成されてきました。これまで、大陸の形成のメカニズムは、大陸の岩石が用いられてきました。今回の報告では、海洋地殻から大陸の様子が探られました。

Essay■ 1_178 大陸地殻の新知見 3:初期は小さな大陸

 2020年3月に報告されたジョンソンとウィング(Johnson, B. W. and Wing, B. A.)の論文は、
Limited Archaean continental emergence reflected in an early Archaean 18O-enriched ocean
(初期太古代の18酸素に富んだ海洋を反映した限定された太古代の大陸出現)
というものでした。
 この論文での調査は、西オーストラリアのピルバラ・クラトンのパノラマ地域でおこなわれたものです。岩石は約32億4千万年前の海洋地殻を構成したものですが、熱水変質を受けていました。著者らは、100個以上の岩石を採取し、酸素の同位体比の分析をして検討しています。
 一般に、海洋の化学的堆積物では、時代を経るとともに、酸素の同位体比(18O/16O)が増加していくことが知られています。酸素同位体比は、海水と岩石の2つの成分が、どの程度混合するかによって決まってきます。今回分析した岩石の酸素同位体比は、重い(18Oの比率が大きい)ことがわかりました。
 もし、海水成分の酸素同位比が現在ものと同じだとしたら、この時代の海水は非常に高かったことになります。あるいは、岩石と海水との相互作用が、現在のものとは異なっていたことになります。重い酸素同位体比は、いずれかの理由によることになります。
 著者らの仮説は、当時は大陸が非常に少なかったと推定しています。もし、大陸が存在したら、大陸表層に存在したはずの粘土鉱物が、重い酸素を吸収し、同位体比を下げる(軽くする)からです。そのような大陸が少ないという推定から想定される値に、今回のデータが相当していました。
 西オーストラリアのジャック・ヒルでは約44億年前の大陸できた鉱物が、カナダでは約40億年前の、グリーンランドで38億年前の大陸の岩石が見つかっています。ですから、古くから大陸が存在したことは確かです。
 これらの証拠と今回の報告との両者をうまく説明するには、大きな大陸はなくて、小さな陸地が存在した、というモデルになります。現在の伊豆マリアナ列島のような海洋島弧のようなものが、広い海洋のあちこちに多数あればいいものです。ただし、大陸地殻の岩石が形成されていなければなりません。幸い、島弧では大陸地殻の岩石が形成されます。
 今回の研究は、ひとつの地域のものですが、多数のデータからの推定なので、確かなものです。ただし、この地域の一連の岩石からだけなので、他の時代、他の地域との比較が必要になります。その結果、この仮説が支持されるかどうかが、検討できるでしょう。著者らは、より新しい時代の海洋地殻で検証を進めるようです。
 大陸地殻は時代ととともに成長したと考えられます。その成長の様子はまだ確たるモデモはありません。れまで、大陸地殻の形成過程は、大陸の岩石を用いて調べられてきました。今回、海洋の岩石から大陸の様子を調べる手段が見つかったことになります。これは、地球の大陸と海洋の進化を考える上で、重要な方法論を示したことになります。


Letter■ 買い物・集団感染 

・買い物・
新型コロナウイルスのため、日用品以外の買い物は、
これまでネット通販を使ってきました。
残念ながら、まだしばらくこの状態が続きそうです。
先週末、必要なものがあってホームセンターにいきました。
実際の店舗で商品を手にとって選ぶことは、
買い物の醍醐味でいいものでした。
私は、実店舗での買い物は2ヶ月以上行っていません。
日用品の買い物は、家内に任せています。
毎日、大学と自宅の往復だけだったので、
ついつい店で長居をしてしまいました。

・集団感染・
北海道では、まだ感染者の発生が継続しています。
北九州では、学校での集団感染もありました。
安心できない状態が続いています。
大学は、前期はまだWEB講義が継続中です。
会議もリモートでの開催す。だいぶ慣れてきました。
ただ、毎回の講義の作成には手間取っています。
今年からはじまる新しい講義もあるのですが
それを最初からリモート用につくると、
来年は再度、対面の講義用に変更が必要になります。
まあ、仕方がありませんね。