地球の歴史
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Essay■ 1_176 大陸地殻の新知見 1:3つの論文
Letter■ 緊急事態宣言・どさくさ紛れ
Words ■ 緊急事態宣言が継続中なので自粛も継続中です


(2020.05.21)
 2020年になって、大陸地殻に関する論文が相次いで報告されました。いずれも大陸の形成や特徴に関するものです。今回のシリーズでは、それらをまとめて紹介していくことにします。

Essay■ 1_176 大陸地殻の新知見 1:3つの論文

 まずは、発表順に論文タイトルを紹介していきましょう。2020年1月7日、イギリスの専門雑誌「Journal of Petrology」(岩石学の雑誌)に報告されたものは、
The metasomatized mantle beneath the North Atlantic Craton: Insights from peridotite xenoliths of the Chidliak kimberlite province (NE Canada)
(北大西洋クラトン下の汚染されたマントル:チャドリカ・キンバーライト地区のカンラン岩捕獲岩からの観点)
でした。
 3月2日、イギリスの科学雑誌「Nature Geoscience」に報告されたのは、
Limited Archaean continental emergence reflected in an early Archaean 18O-enriched ocean
(初期太古代の18Oに富んだ海洋を反映した限定された太古代の大陸出現)
でした。(注)18Oとは酸素の同位体で質量数18のものの比率をいいます。
 3月17日、イギリスの専門雑誌「Journal of Petrology」に報告された、
Eclogite and garnet pyroxenite xenoliths from kimberlites emplaced along the southern margin of the Kaapvaal craton, southern Africa: mantle or lower crustal fragments?
(南アフリカ、カープヴァール・クラトンの南縁に沿って定置したキンバーライトからのエクロジャイトとざくろ石輝石岩の捕獲岩:マントルもしくは下部地殻の断片か?)
でした。
 いずれも専門書の論文のタイトルなので、日本語訳を読んでもよくわらかないと思います。その内容は、次回以降、順次紹介していきます。
 最初の論文の調査地は、カナダ北東部のバフィン島の北大西洋クラトンで、2つ目の論文は、オーストラリア北西部のピルバラ・クラトン、3つ目は南アフリカのカープヴァール・クラトンです。いずれもクラトンという名称がついています。論文の紹介の前に、クラトンの説明からはじめていきましょう。
 クラトン(craton)とは、大陸地殻の中でも、非常に古いもの(先カンブリア紀)を意味しており、「安定地塊」、「楯状地」などとも呼ばれています。安定地塊とは、古くから存在している大陸地殻なので、それは安定していることを意味しているために呼ばれています。また、楯状地とは、古い時代に形成され侵食され、地形も平らでなだらかになって盾状になっているという意味です。
 地球にはクラトンと呼ばれてるものがいくつかあります。論文で出てきた以外にも、カナダ楯状地、バルト楯状地、シベリア卓状地、ブラジル楯状地、アラビア楯状地、シナ地塊(アジア大陸東部)など、大きさはそれほどではないですが、古い時代の大陸の様子や大陸形成についての研究では重要な地域となります。
 次回から、それぞれの論文を紹介してきましょう。


Letter■ 緊急事態宣言・どさくさ紛れ 

・緊急事態宣言・
全国の新型コロナウイルスの感染者数は
自粛を進めたため、だんだんと減ってきました。
ただし、いくつかの地域では、
緊急事態宣言はまだ継続中となっています。
北海道も緊急事態宣言は、まだ継続中です。
北海道でも、いくつかの地域で発生しています。
わが町では感染者は6人ですが、
市内での確認は8人となります。
少ないといえば少ないのですが、
札幌の隣の石狩管内なので、
札幌の同列に扱われています。
致し方がないのですが、少々長い自粛が続いています。

・どさくさ紛れ・
大学はWEB講義も3週目となりました。
なんとなくリズムがでてきたのですが、
大変さはが経るわけではありません。
新たに準備すべきことが、例年以上に多くなります。
そのため、未だにとまどっている人もいます。
また、大学の会議も遠隔になりました。
発言が少なくなるようで、
時間短縮になり、これはこれで効用もありそうです。
しかし、大事な議題も流されると困ります。
国会でも無法な法案を通そうしましたが、
検察庁法改正法案はだけは
国民の声で阻止できました。
今の政府は、こんなどさくさ紛れの所業が
いろいろと目に付きます。
困ったものです。