地球の歴史
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Essay■ 1_175 日本最古の岩石 7:小さな露頭の大きな意義
Letter■ お盆・北海道の涼しさ
Words ■ 北海道の暑さは一段落です


(2019.08.15)
 今回見つかった最古の岩石は、小さな露頭からだったのですが、その意義は大きいです。原日本が、いつ、どこにあったのかを探る証拠になります。しかし、その解釈は今後も議論を続けていく必要があるでしょう。

Essay■ 1_175 日本最古の岩石 7:小さな露頭の大きな意義

 舞鶴帯は、西南日本内帯にありますが、最も大陸側ではありません。前に説明したように、造山帯はナップやクリッペという構造をもっているので、形成時期のより古いものが、海側や上盤側に存在しても、おかしくありません。古い岩石が、もともとどのような造山帯に属していたのかを、慎重に判別する必要があります。
 今回の見つかった岩石が、舞鶴帯に属すると判明したのは、共著者の一人である早坂さんの一連の調査研究に基づいています。岩石が見つかったところは、島根県津和野地域です。早坂さんは、これまで、岡山県北部の津山市久留米地域で4億9000万〜3億年前の花崗岩を含む岩体を発見し、それが舞鶴帯(舞鶴帯北帯)に属することを示してきました。似た花崗岩類は、それより西(広島県福山市の北部や吉和地域)でも見つかったのですが、それら夜久野オフィオライトに属すると年代から判断されました。これまで岡山県北部の以西からはら夜久野オフィオライトの岩石だったのですが、津和野の位置は、広島県福山市よりさらに西になります。今回の岩石の年代は、夜久野オフィオライトより古いので、舞鶴帯北帯に属すると判断されました。つまり舞鶴帯北帯はとぎれとぎれですが、もっと西にまで分布していたことになります。
 西南日本の飛騨−隠岐帯の隠岐変成岩の中には、18.5億年前の花崗質の変成岩が見つかっています。今回見つかった岩石は、同じような変成年代でしたが、もっと古い火成年代をもっていました。また、広い大陸に由来する堆積岩もあることもわかっています。その結果、岩石があった場の岩石構成や形成環境がわかるようになりました。
 一般に、原日本の岩石は、南中国地塊と縫合帯(北と南中国地塊の間)にあったものから構成されていたと考えられています。日本最古の岩石(岩体)を発見したという論文では、年代から北中国の地塊に所属していたと報告されています。しかし、北中国地塊や南中国地塊の年代データがまだそろっていないので、今後の研究が必要になります。
 今回見つかった岩石は、小さな露頭だったのですが、実物の証拠をもって古い時代のことが推定できたのは、重要な成果となります。もし、その所属が明らかになれば、断片化していない大陸の地塊を調べることで、より詳しい原日本の様子を知ることができます。もしこれが北中国地塊であれば、大陸の岩石を詳しく調べ比較することで、検証できるかもしれませんね。


Letter■ お盆・北海道の涼しさ 

・お盆・
お盆の里帰りをされているでしょか。
最近は、分散してお盆休みとして
夏休みをとることにしているところもあるようです。
うちの大学の職員もそのようにして休暇をとっているようです。
大学の建物も、お盆休みには閉鎖されています。
しかし、私はいつものように大学に来います。
名簿に記載すれば入館できます。
ですから、いつものように研究室で仕事をしています。

・北海道の涼しさ・
台風から温帯低気圧に変わったものが
北海道を通って以来、一気に涼しくなりました。
それまで10日ほど暑かったので
ぐったりと弱っていたのですが、
この涼しさでホッと一息つけました。
実家の母は、京都に在住なので、
毎日暑い暑いとぼやいています。
高齢ですから、エアコンや扇風機を使って
なんとから凌いでもらいたいものです。
私は本州の暑さが大変なので北海道に住んでいます。
子どもたちの暑い関西在住なので
暑さにへばっているのでしょうか。