地球の歴史
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Essay■ 1_162 大陸の移動 3:スラブ
Letter■ 集中・編集中
Words ■ 暑さも一段落でしょうか


(2018.08.09)
 地球の内部から表層にかけての運動は、熱の対流が原動力となっています。表層のプレート運動を詳細に見ていくと、どのような力が原動力かは、難しい問題となります。大陸の移動に関する新しい考えが提示されました。

Essay■ 1_162 大陸の移動 3:スラブ

 地表での大陸間の精密な観測事実からプレートの運動がわかり、プレートテクトニクスが実証されました。地震波の観測からマントル内の密度差、温度差から、マントル物質の対流が推定され、現在ではプルームテクトニクスと呼ばれる運動論が提唱されています。
 地表では、プレートとして連続的な運動として認識されていますが、マントル内の物質の分布状況を見ると、断続的な運動に依存しているようです。プルームの運動(マントル対流)の原動力は、地球の内部の冷却と熱の放出という物理的な過程でした。物質の運動は断続的ですが、温度の流れとしては継続的に続いているようです。
 大局的には熱放出に伴う対流運動となりますが、表層のプレート運動としてみると、その詳細は必ずしも解明されているわけではありません。
 かつては、海嶺で海洋プレートができて広がる、と単純に考えられていたのですが、それでは海洋プレートの沈み込みも起こらず、深く沈み込むんでいくこともなさそうでした。
 その後、作用しているさまざまな力から、プレートの運動を定量的に捉えるようになってくると、別の原動力が候補になってきました。すべてのプレート運動の原動力は、冷えた海洋プレートが沈み込むときに働く力だと考えられるようになってきました。海嶺でできた海洋プレートが海底をいどうするうちに冷やされ密度が大きくなります。ある密度以上になると、なんらかのきっかけがあれば、海洋プレートは沈み込むことができます。大陸プレートと海洋プレートがぶつかれば、海洋プレートが沈み込みます。海洋プレート同士であれば、より冷えて密度の大きい、古い海洋プレートが沈み込みます。沈み込む海洋プレートの沈み込みが、表層のすべてのプレートの原動力と考えられました。これも、熱の対流の一部と捉えることができます。沈み込む海洋プレートのことをスラブと呼ぶので、この原動力は「スラブ引張力(ひっぱりりょく)」と呼ばれていました。
 「スラブ引張力」によって、海洋プレートの沈み込みだけでなく、海嶺でも張力が発生して、マグマ形成も促します。また、海洋プレートの運動が解明されれば、大陸プレートの運動も自ずから理解されることになります。
 しかし、「スラブ引張力」では、大陸プレートの移動が起こらないという結果が見出されました。海洋研究開発機構の吉田晶樹さんと浜野洋三さんが、2015年のScientific Reportsに報告されました。論文のタイトルは、
Pangea breakup and northward drift of the Indian subcontinent reproduced by a numerical model of mantle convection
(マントル対流の計算モデルによって再現されたパンゲアの分裂とインド亜大陸の北方移動)
というものでした。
 パンゲアとはパンゲア超大陸のことです。超大陸やインドが、なぜ大陸プレートの運動と関係するのでしょうか。詳しくは、次回としましょう。


Letter■ 集中・編集中 

・集中・
大学の8月の最初の週の試験期間が終わると共に
涼しくなってきました。
皮肉なことです。
私としては、おこないたい作業があったので、
涼しくなり、集中できて助かっています。
一日、しっかりと集中できています。
細かい作業が必要なのですが、はかどります。
そして、校務も一気に行え効率的です。
このまま涼しくなってくれると助かるのですが。

・編集中・
現在、本の執筆が佳境にはいっています。
初稿が完成し、現在、編集作業をこなっています。
進行状況によっては、お盆明けには、
印刷屋さんに入稿したいと考えています。
私としては、できるだけ初稿の校正が少なくなるように
推敲をしていく必要があります。
ただし、少々文章量が増えたので、
予算内で印刷ができるかどうかが、心配です。
もしだめなら、少部数のデジタル出版に
変更することになるかもしれません。
そうなると、初稿の校正は、不可能となります。
まあ、今できることを、限られた時間で
優先順にできる範囲でやるだけです。