地球の歴史
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Essay■ 1_161 大陸の移動 2:プルーム
Letter■ 猛暑・人に寄り添う
Words ■ 8月です。暑さは続くのでしょうか


(2018.08.02)
 マントル内部の運動は非常に遅いものなので、実測をすることは、不可能です。では、どうして運動を捉えるのでしょうか。それは、動くもののコマ撮り写真をみて、その運動を想像するような方法がとられました。


Essay■ 1_161 大陸の移動 2:プルーム

 プレートの動きは実測されました。しかし、地球内部のマントル物質の運動を捉えることはできるのでしょうか。マントル対流と呼ばれいていますが、その運動の実体が、20世紀末にやっと見えてきました。
 マントル対流の把握は、地震波の観測からはじまりました。精密な地震波の観測網、そしてデータ加工をして地震波トモグラフィという処理によって視覚的に示されました。
 地震波を詳しく調べると、岩石の密度変化を読み取ることができます。マントルが同じような岩石からできるとすると、密度変化は温度変化とみなせます。そのような処理の結果、海溝で沈み込んだ海洋プレートが、上部マントルと下部マントルの間に、冷たいまま大きな塊として溜まっているところが見つかりました。メガリスと呼ばれました。メガリスの下、核とマントルとの境界には、かつてのメガリスが落下したような冷たい固まりも見つかりました。
 一方、温かいマントルの巨大な塊も見つかっています。これはホットプルームと呼ばれました。また、地震波観測で以前から、核とマントル境界に、D"(Dダブルプライムと読みます)というゾーンも知られていました。D"は、周辺の岩石とは、密度や温度の違いがあるところでした。ただし、D"が、核とマントルの境界部に、層として連続して存在するのではなく、部分的にあったり、なかったりするものでした。冷たいところは、メガリスの落下物と判明しました。温かい、あるいは密度の小さいところは、ホットプルームになる予定のものだと考えられました。
 マントル物質の動きはゆっくりとしたもの(年間10cm程度)なので、動きを捉えることは難しいものです。ですが、このような観測事実、状況証拠から、マントル全体におよぶ巨大な対流が想定され、以下のような運動モデルが考えられました。
 新しい海洋プレートが、海嶺で形成されます。できたばかりの温かい海洋プレートは、海底で冷却されていきます。やがて長く海底に置かれて冷えた海洋プレートは、温かいマントル物質より密度が大きくなり、海溝で沈み込みます。冷え切った海洋プレートが、マントルの上部下部の境界に落ち込むのですが、鉱物の物性の妙で、冷たいマントル物質は密度変化は起こるのですが、ある条件では浮力が発生することがあり、留まります。これがメガリスになります。速い速度、温かい海洋プレートでは、メガリスはできず沈み込んでしまうようです。
 メガリスの中にある海洋地殻成分が周辺より高密度になります。長期間溜まって、その成分が増えることで、メガリス全体が周りより重くなり、沈み込みます。海洋プレートから落下するメガリスまでが、冷たい物質の流れとしてコールドプルームとなります。それが、核とマントル境界まで落ち込んで、D"の冷たいところになります。
 巨大な物質が落ち込んくると、質量バランスをとるため、核とマントル境界から物質が出ていくことになります。それがD"の温かい部分です。マントルの中を上昇したものがホットプールと呼ばれるものです。ホットプールは、温かいマントル物質の運動する姿を想定して、名付けられました。ホットプルームの一部が、海嶺を生み出すような火成活動します。他にも海洋底の巨大な海台、長期におよぶハワイの火山なども、ホットプルームが原因だと考えられます。ホットプルームの存在で、海洋域の長期間の火成活動を説明することができるようになりました。
 地球の核と海洋も含めたマントル全体の運動論が、プルームテクトニクスになりました。


Letter■ 猛暑・人に寄り添う 

・猛暑・
本州は猛暑ですが、いかがお過ごしでしょうか。
極力冷房ある部屋で過ごされているのでしょうか。
北海道では、7月末から8月になって、
気温も上がりました。
ただ、湿度も高くなり、暑さに不慣れで
皆、ぐったりとしてしまいます。
夜は気温が下がるので、寝れるので
なんとか暑い夏を過ごせています。
大学も自宅も、クーラーがないので、つらいです。
今年の夏は、暑くて過ごしにくいようです。
皆様もお体に気をつけてください。

・人に寄り添う・
現在、大学は試験期間で前期が終わろうとしています。
何度か書いたと思いますが、
一番暑い時期に試験は、
学生にとって非常に辛いものです。
本当にこれで学びの集大成、確認が
できるのでしょうか。はなはだ疑問です。
スケジュールをこなすことだけが、優先していますが、
人に寄り添った臨機応変さも欲しいですね。