地球の歴史
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Essay■ 1_160 大陸の移動 1:実測
Letter■ 日々の速さ・循環論法
Words ■ 光陰矢のごとし


(2018.07.26)
 新たなシリーズとして、大陸移動に関する話題を紹介します。20世紀初頭に、ウェゲナーが先駆的に示した大陸移動の仮説は、今ではプレート移動とその原動力についての課題として取り組まれています。その現状も紹介していきます。


Essay■ 1_160 大陸の移動 1:実測

 前回までのシリーズでは、大陸の形成について紹介しました。今回からは、大陸の移動について考えていきます。大陸移動に関するシミュレーションをした結果から、重要なことがわかってきました。その報告に基づいて紹介していきましょう。
 素朴な疑問として「大陸はなぜ移動するのか」ということが、その報告のテーマです。実際には、大陸だけが動くのではなく、大陸プレートとして動くことになります。もちろん、大陸プレートだけでなく、海洋プレートも動きます。「大陸はなぜ移動するのか」とは、いいかえるとプレートの移動の仕組み、あるいはプレート移動の原動力について疑問ということになります。
 大陸移動のアイディアは、ウェゲナー(Alfred Lothar Wegener、1880-1930)が、1915年に「大陸と海洋の起源」という本の中で、大西洋は中生代にはなく、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸がひとつの大陸(ローラシア大陸)となっており、南アメリカとアフリカもひとつの大陸(ゴンドワナ大陸)、そして2億年前にはそれら2つもくっついて超大陸(パンゲア)になっていたとしました。新生代になってから、大西洋が開きはじめて、4つの大陸に分離したという理論を展開しました。しかし、ウェゲナーも、大陸移動の原動力については言及していませんでした。
 現在では、その原動力はマントル内で起こっている地球の熱の放出で、それがマントル対流となっていると考えられています。しかし、証明するのはなかなか困難です。なぜなら、マントル対流は、地球内部で起こっておる現象なので、地表にいる人間には直接観測することができないためです。また、その対流の速度は、非常に小さいはずで、地球内部の対流を実測することは、不可能なためでもあります。
 現在では、地表のプレートごとの相対的な運動速度は、実測されてきました。超長基線電波干渉法(Very Long Baseline Interferometry、VLBI)と呼ばれている方法です。VLBIとは、遠くにある天体(クエーサーなど)の出す電波を、地球上の2つの地点で観測して、その時間差を正確に測ります。そこから両地点の距離を、非常に正確に測定する方法があります。その経年変化を調べていくと、大陸間の距離の変化、つまりプレートの移動を実測したことになります。長い期間、そしていろいろ地点で観測していくと、プレートごとの平均的な移動速度が実測できます。このようにして、現在では、プレート間の相対的な移動速度がわかってきました。
 ただし、その運動が、マントル対流とどう結びついているか、対流の実態を見ることができないので、検証していくのは困難です。しかし、近年、対流の原因となっている熱の実態が、少しずつ見えてきました。そこから対流を考えていくことができつつあります。


Letter■ 日々の速さ・循環論法 

・日々の速さ・
私の大学では、今週で前期の講義がすべて終わります。
来週から定期試験となります。
長く感じた前期も、過ぎてしまえば
あっという間に思えます。
時間とは不思議なものです。
歳とともに、日々の経過は速く感じます。
そんな速い時間に対抗するには、
日々の実績の積み重ねしかありません。
それがなかなか大変なのですが。

・循環論法・
7月にすべきことがあったのですが、
なかなか計画どおりにはかどりません。
計画どおりに進めるには、多くの集中力と忍耐、
そして犠牲も必要になってきます。
犠牲とは優先順位をつけて、優先順位の低いものが
高いものの犠牲になっていくことでもあります。
気をつけないと、刹那的に、あるいは時間に追われながら
細々としたことで日々を過ごすことになりかねません。
だから計画が必要になります。
循環論法ですね。