地球の歴史
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Essay■ _151 K-Pgの絶滅 2:新仮説
Letter■ 大雪・処世
Words ■ 師走だけでなく、いつも忙しいと言ってないか


(2016.12.15)
 隕石の衝突によって起こったいくつもの観察事実があります。衝突による連鎖的出来事を考える時は、それらの観察事実を説明する必要があります。すべての説明するのは、なかなか難しいようですが、新たな仮説が提唱されました。

Essay■ 151 K-Pgの絶滅 2:新仮説

 K-Pg境界で起こった大絶滅の直接の原因は、隕石の衝突だと突き止められました。絶滅のシナリオを明らかにするために、絶滅の特徴をまとめておきましょう。
 K-Pg境界の絶滅は、陸上生物と海洋表層に生息しているプランクトンで大きかったことがわかっています。海洋プランクトンでは、浮遊性の有孔虫は石灰質殻をもつものが種のレベルで80%以上絶滅していることが知られています。一方、陸地の淡水中や海洋底では、それほど大きな絶滅率ではなかったとされています。隕石が落下したクレーターは、半分がユカタン半島の石灰岩の多い地質の陸地になり、あとの半分は海洋になっていました。大絶滅が起こったあとに最初に復活してきた陸上植物はシダ類でした。これらが前提条件になります。
 連鎖的事件に関する仮説を提唱する時には、前提条件を説明する必要があります。隕石衝突によって起こる直接の絶滅は、衝撃波、津波、山火事などによるものだとされていますが、遠くの海底まで起こるような現象は、なかなかいい仮説はありませんでした。
 千葉工業大学惑星探査研究センターの大野宗祐さんたちによる共同研究が、2014年3月10日発行のNature Geoscience誌に報告されました。隕石の衝突にともなっておこる現象に関する実験による検証と、計算機実験を組み合わせて、新しい仮説が提案されました。
 仮説は、酸性雨に注目した研究でした。酸性雨のなかでも、硫酸を含むものを想定しています。隕石が衝突したユカタン半島には、石灰岩には、石膏(硫黄を含む)も含まれていたと考えられています。それか酸性雨の素材になると考えられました。
 隕石の衝突によって膨大なエネルギーが放出されます。ある見積もりによると、衝突地点の岩石は数千度から1万度以上になるとされています。そのようなエネルギーが一点に集中すると、周辺の岩石が蒸発していきます。岩石に含まれていたイオウ成分が、硫黄酸化物ガスとして撒き散らされたのではないかと考えました。
 それを実証するために、大野さんたちは、現地にあった硫酸塩岩に、レーザー光を用いて金属片を高速(約20km/秒、隕石の衝突と同じ条件とされる)でぶつけました。すると三酸化硫黄ができることがわかりました。想定されていた二酸化硫黄ではなく、三酸化硫黄であることが重要です。三酸化硫黄は、理論的には数日程度で強い酸性雨となって降ることがわかってきらからです。
 その説明は次回に。


Letter■ 大雪・処世 

・大雪・
週末に北海道には強い低気圧が発生し、
強烈な冬型の気圧配置になり、
各地で大雪になりました。
週末の冬型が一旦収まったったと思ったのですが、
月曜日の朝にも、大雪になりました。
地域により雪の量は違っていましたが、
各地で大きな影響を受けました。
しかし、北海道は大雪に慣れているので、
交通の乱れは有りましたが、
大きなトラブルもなく、ただ除雪を繰り返し、
冬に対抗しています。

・処世・
冬も本番となってきましたが、
私はいつものように慌ただしい師走を過ごしています。
もともと校務が多い時期でもあるのに、
今年は仕事もいろいろ重なっているので
慌ただしさがいつもより多いようです。
でも、時間は待ってくれませんので、
日々優先順位をつけて進めていくしかありません。
近年は、身辺が慌ただしくても、
淡々とした心の持ちようで
生きていく術を身につけられたようです。
処世術でしょうか、それとも手抜き、保身でしょうか。