地球の歴史
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Essay■ 1_150 K-Pgの絶滅 1:原因は分かったが
Letter■ 師走は・メディアは
Words ■ 師走は、教師だけでなく天候の慌ただしい


(2016.12.08)
 絶滅の話題が続きます。大絶滅でもっとも有名なのは、恐竜絶滅を起こしたK-Pg境界での事件でした。この事件を起こした原因ははっきりしているのですが、プロセスはよくわかっていません。そこに新しい仮説が提案されました。

Essay■ 1_150 K-Pgの絶滅 1:原因は分かったが

 恐竜の絶滅が起こったのは、白亜紀の終わり(約6550万年前)、K-Pg境界(かつてはK-T境界と呼ばれていました)とされている時代です。K-Pg境界の絶滅は、恐竜だけでなく、陸上でも海洋でも多くの生物が絶滅をしていました。そのためK-Pg境界の事件は、単に恐竜の絶滅だけでなく、大絶滅として扱われています。このように大絶滅とは、多くの種類が絶滅することです。多種類の絶滅が起こるためには、「いろいろな環境」で、「同時」に異変が起こらなければなりません。
 「いろいろな環境」というのは、陸だけでなく、海でも絶滅が起こるということです。陸は大気と接していますので、環境の変化が伝播しやすいという条件があります。一方、海は液体の水を介して起こるので、変動の伝搬がしにくくなります。浅海から深海、内湾や極や赤道の海など、多様な海の環境が存在します。ですから広域での生態系の破壊は、非常の大きな異変を想定しなければなりません。
 また、「同時」というは、地質学的にみたとき、時間の差が検出できないほどの短い期間に起こったという意味です。現実には時間の前後あっても、それが検出できない程度の差であれば、地質学的には「同時」となってしまいます。近年は分析精度が上がっていますので、100万年以上の差は検出できるので、大絶滅は数十万年以内の誤差でおこっている現象となりそうです。
 数十万年というと、広域で生態系が崩壊するのには充分な時間といえます。例えば、氷河期の繰り返しは、約10万年周期だとされています。氷河期のような現象は、氷河期と間氷期の数万年の間に、地球の平均気温が10℃以上の変動を起こします。氷河期のような自然現象として起こる激しい変動でも、環境変化は短期間に起こることがあり得ることが納得できます。でも大絶滅とは、もっと大規模な生態系の破壊が短期間(10万年程度の期間)に起こるものとなります。
 K-Pg境界の大絶滅は、このエッセイでも何度か取り上げていますが、メキシコのユカタン半島に落ちた隕石が原因であったことがわかっています。K-Pg境界の絶滅の原因も、2010年3月のScience誌の41名の連名によって、決着をみたという論文が出されました。
 直径約15kmの隕石(小惑星といったほうがいいかもしれません)が落ちて、膨大なエネルギーを開放しました。この隕石の衝突が、そもそもの原因、すべての引き金であったことは、確かなことになりました。そこから連鎖的な現象によって多様な環境での異変が起こり、生態系の破壊が起こったはずです。
 隕石の衝突から起こる連鎖的現象については、まだ定説がありません。それに対して、一つの仮説が提案されました。それを次回に紹介していきます。


Letter■ 師走は・メディアは 

・師走は・
師走は、いつも忙しいのですが、
今年は、特に忙しくなっています。
それは、担当ゼミの学生が例年の倍いることと
依頼されている論文がいくつもあったためです。
でも、忙しさは、歓迎すべきと考えています。
本来の自分のすべき計画があるのですが、
それを横に置いてもやるべき仕事もあります。
しかし、努力や工夫をすれば、
やるべき仕事の一環、一部として
位置づけることもできるかもしれません。
そんなことを考えながら、
つぎつぎ迫りくる締切をこなしていくことにあります。

・メディアは・
北海道は、気温変化の激しい日々が続いています。
週末は部屋はストーブを切らなければ
暑くなるほどの暖かさでした。
道の雪もすべて溶けてしまいました。
っと、思ったら、一気に数cmも積もる大雪になりました。
目まぐるしく移り変わる天気が繰り返します。
でも、これは11月はじめから続くような
変動の激しい天気です。
こんな変動をみると天変地異をいう人が出てくるかもしれません。
でも最近のメディアはだいぶ落ち着きをもっていて
そんなデマを流すことは少なくなりました。
ところが、問題を起こした人物を見つけると
徹底的に叩くというやりかたは、
未だに継続、いやエスカレートしているようですが。