地球の歴史
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Essay■ 1_141 月の新起源説 2:ジャイアント・インパクト
Letter■ 夏休みとは・伸びシロ
Words ■ 北海道は天候不順です


(2015.07.02)
 月の起源については、今では衝突説が有力になっていることを、前回紹介しました。衝突説はジャイアント・インパクト説と呼ばれ、他人説と親子説の折衷のものになっています。今回は、ジャイアント・インパクト説を紹介します。

Essay■ 1_141 月の新起源説 2:ジャイアント・インパクト

 月の起源として、捕獲説、共成長説、分裂説の3つがありましたが、いずれも長所短所があり、なかなか定まりませんでした。ところがジャイアント・インパクト説の登場により、問題点を解決できるようになりました。地球に他の天体が衝突して、その時、飛び散った破片が月になったというものです。ただし、衝突した天体は、かなり大きなものが想定され、火星ほどあったと考えられています。巨大な天体の衝突だったので、ジャイアント・インパクト説(巨大衝突説)と呼ばれています。今は亡き天体は、ティアと名付けられています。
 この説の発端は、コンピュータ・シミュレーションにより、衝突により月の形成が可能であるということが推定されたことでした。シミュレーションによると、ティアは地球に斜めに衝突したようです。衝突で飛び散った物質は、地球の周回軌道上を漂いながら、集積していきます。それらは、やがて月になっていくのですが、なんと1ヶ月という短期間で起こったと計算されいます。
 今まではひとつの説ではすべてを説明できなかった、地球と月の性質の違いを、この説では、説明できます。
 地球と比べると月は、物理的に核(コア)が小さく、密度も小さくて、化学的にも揮発成分(気体になりやすい元素)が少ないなどという特徴があります。まるで別の素材からできたように見えます。一方、酸素の同位体組成などの化学組成は、同一の材料からできたことを示しています。
 このような差異と共通点を説明するのに、ジャイアント・インパクト説が有利でした。ティアが、斜めにぶつかれば、核の成分は地球にとどまり、地殻やマントルの成分を主とした特徴的な化学組成になり、密度も小さくなります。そしてティアも地球と似た材料からできていたとしたら、全体として似た同位体組成をもっていてもいいわけです。
 ジャイアント・インパクト説は、他の天体が衝突し、地球と天体の成分が混じりあってできたことになり、他人説と親子説の折衷的な考えになります。
 ジャイアント・インパクト説で、月の起源は解決したのかと思われていたのですが、実は、いくつか説明できないこともありました。それは、次回としましょう。


Letter■ 夏休みとは・伸びシロ 

・夏休みとは・
いよいよ7月になりました。
学校は夏休みに向けて最後の追い込みです。
ただし、小・中・高等学校と違って
大学は前期は夏休み前に終わりします。
ですから、7月いっぱい講義があります。
そして8月になってから定期試験となります。
これでは、夏休みの意味がわからなくなります。
単に学期の区切りだけの意味で、
暑いから休むものではないことになります。
これも、考え方ではありますが、
暑い時は休みたいですよね。

・伸びシロ・
若者のやりたいことをサポートする時
そのやりたいことが、
本人に合っているかどうかをどう見極めるのか。
また、合っていないという判断は、
だれがどのような基準でなすべきか、
悩ましい問題です。
その判断は、本人の将来を大きく左右をします。
本人のこれからの伸びシロを
否定することになりかねません。
不器用な人が長い時間をかけて、
一流になっていったという話も聞きます。
稀なことかもしれませんが、
本人は自分を信じ、
周りもその人の伸びシロを信じていたのです。
人の指示で自分の進路を変更することもあるでしょう
人が暮らす社会ですから、
人との関わりがあるのは当たり前です。
でも、その人の希望を摘むことは悩ましいことです。