地球の歴史
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Essay■ 1_128 宇宙の年齢 1:求め方
Letter■ 4年生の夏休み・暑さによる迷い
Words ■ 北海道も暑いです


(2014.07.31)
 宇宙の年齢は、138億年という数字が使われているのですが、ちょっと前ままでは137億年で、もう少し前は150億でした。このような数値はなぜかわってきたのでしょうか。その経緯を探っていきましょう。

Essay■ 1_128 宇宙の年齢 1:求め方

 宇宙の年齢は、かつては100億年程度、その後約150億年といわれていました。いつの頃から137億年という数値にかわり、そして少し前から138億年となってきました。宇宙の年齢が変わることはないはずなので、求めている人間側の事情で変わってきたはずです。宇宙の年齢は、どのようにして求め、なぜ変わってきたのでしょうか。
 宇宙の創生時にできた物質が手に入れば、年代測定が可能でしょう。ところが、私たちは太陽系という46億年前にできたところに住んでいます。太陽系も宇宙にある材料でできたものですが、その材料はもっと新しい時代に完全にブレンドされ、年代も書き換えられたものでした。したがって、宇宙創世の材料は、地球や太陽系にいる限り手には入りません。通常の年代測定とは違った方法、考え方で、宇宙の年齢を決めなければならないようです。
 宇宙の年齢を推定するのには、いくつかのアプローチがあります。理論的に決める方法、観測によって決める方法があります。最近では、両者の方法を連携させながら、年齢が決められています。
 観測の一番単純な方法として、宇宙の天体で一番古いものを探すことです。一番古い天体より、宇宙の形成は古くなければならないという単純な理屈に基づくものです。つまり、古い天体を観測することによって、宇宙の年齢の下限を決めるというものでした。
 この方法も、以前は数値に矛盾がありました。一番古い天体の年代より、他の方法で推定された宇宙の年齢の方が若いという、逆転現象があったのです。その後この矛盾は、観測の誤差や見積もった定数がずれていたりということが原因であることがわかり、修正されています。
 望遠鏡の性能向上や観測する電磁波(波長)の広がり、観測手法の革新などにより、遠くの古い天体が観測されるようになってきました。その結果、天体の年齢が精密に測定されながら、下限が下がっていったのです。
 理論的アプローチとしては、ビックバンのモデルに基づくことになります。宇宙がビックバンによって始まり、それ以降膨張しているというモデルです。宇宙の膨張は、ハッブルが観測して以来、いくつかの根拠もあり、多くの人に受け入れられています。
 宇宙の膨張率は、ハッブル定数で定められます。ハッブル定数を用いると膨張がゼロ、あるいは時間がゼロが宇宙の始まりとなり、ハッブル定数から、宇宙の年齢が求められます。今ではハッブル定数は、かなり正確にわかっています。膨張の様子をより正確に遡る方法もわかり、ハッブル定数と宇宙のエネルギー密度、物質とエネルギーの組成から、宇宙の年齢をより正確に推定することができるようになってきました。これは観測と理論の融合となります。
 もうひとつ、宇宙の背景放射と呼ばれるものの観測から、宇宙の年代を求める方法があります。これは、宇宙の膨張の様子と組成を解き明かすことにもなるものですが、次回としましょう。


Letter■ 4年生の夏休み・暑さによる迷い 

・4年生の夏休み・
北海道も夏らしい日々が続いています。
日が昇るとセミが激しく鳴き出し、
暑さを演出しています。
午後は暑さが増し、
西向きの研究室は耐えられないほどの気温になります。
卒業研究の目次作りに4年生との面談を
毎日何人とおこなっています。
少しずつ進行しています。
OKとなった人は、なにをすべきか理解して、
それを目次として構成できたことになります。
4年生の夏休みはそれができてからです。

・暑さによる迷い・
年々、夏休みが短く感じます。
以前は、8月下旬から
夏休みをとれた気がしたのですが、
最近は野外調査にでるにも
校務の隙間をぬっていくような気がします。
研究条件も過酷になってきました。
研究は、自分のアイデンティティにかかわるものなので
なにがあっても継続しなければなりません。
そのためには気力が必要なのですが、
それも校務で削がれていきます。
そんなとき、何のために私はここにいるのか
という気分が湧いてきます。
まあ、これも暑さによる心の迷いだと思いますが。