地球の歴史
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Essay■ 1_125 最古の認定 2:UとThの年代測定
Letter■ 反省・桜の季節
Words ■ 春爛漫の時期に


(2014.05.08)
 ジルコンの年代測定は、放射性核種のウランやトリウムの放射崩壊を利用するものです。ウランとトリウムの年代は、回帰直線によって決めていきます。では、その年代測定の方法や原理とは、どんなものでしょうか。

Essay■ 1_125 最古の認定 2:UとThの年代測定

 地球で最古の岩石は、約40億年前のものです。最古のものが、岩石という形になっていて、岩石自体ができた時代を示しています。ですから、岩石から得られた情報は、その時代の情報であることになります。地球の材料である隕石の年代は、約45.6億年前であることがわかっています。その間、約5.6億年間が、資料がない、調べられない、「ミッシングリンク」となります。
 ところが、間を埋める年代をもつ物質はあります。それは、地球以外の天体である月から採取された岩石です。45億年前のものまであります。これはこれで、重要なデータですが、地球の歴史を調べるには、やはり地球で最古の物質探しは続くでしょう。そして報告はそれなりのニュースで伝えられるでしょう。
 技術の進歩によって、非常に小さな鉱物の粒一個でも年代が測定できるようになりました。20世紀終わり頃に出てきた技術で、21世紀にはいる頃になると、その装置(SHRIMPと呼ばれる装置)は普及して、各地で微小な物質の年代測定がなされました。その一環で、最古ハンターたちも動き出しました。その結果、40億年前後の年代の岩石が、いくつかの地域で見つかるようになりました。
 そんなデータラッシュの中でも、2001年は、地球の歴史を探る上で研究史上のひとつのマイルストーンになる時代でした。
 40億年前よりかなり古い時代を示す物質が発見されました。著者も対象地域が違う2つの論文が、同じ雑誌に報告されました。1編は42.8億年前に海の証拠があったいう論文で、他方は44億年前の鉱物の発見の論文でした。両方とも重大な論文でした。
 もともと西オーストラリアには、古い鉱物を含む堆積岩あることが知られていました。マーチソン地方では、約30億年前の堆積岩の中のジルコンという鉱物が古い年代を示すことが知られていました。それまでは42億7600万年前の年代が知られていました。この論文では、42.8億年前の年代で、少し古くなりました。この論文の重要な指摘は、そのジルコンが堆積岩が溶けてできたマグマに由来するということでした。
 もうひとつの論文では、西オーストラリアのジャックヒルというところで、30.6億年前にたまった堆積岩の礫から、44億0400万年前のジルコンという鉱物が発見されました。かなり古い時代を示しました。さらにこちらの論文では、海の痕跡があるという報告がなされていました。
 堆積岩起源のマグマも海の痕跡も興味があるのですが、その話は以前にも何度か紹介した(「1_5 「最古のもの」より古いもの」や「1_12 最初の固体」などを参照ください)ので、ここでは省きましょう。
 いずれの論文の年代を求めたのは、ジルコンという鉱物でした。ジルコンは、頑丈な鉱物で、一度できると風化や変成作用にも、かなり耐えることが知られています。ですから、10億年も新しい時代の堆積岩の中でも、昔の年代を保存していたと考えられています。その年代は、本当に大丈夫でしょうか。
 隕石のように、宇宙空間で、長年風化や変成作用を受けないような状態で保存され、最近地球の落ちてきたのであれば、年代が変化することなく、保存されていると考えられます。
 しかし、地球の表層の岩石は、いろいろな変動を受けるはずです。それも古くなればなるほど、さまざまな変動を受けているはずです。そもそも堆積岩の中にあった砂粒です。そして堆積岩自体も、30億年間も地球にあり、変動を受けてきたものです。そんな堆積岩の中のジルコンで、その中の年代を表す成分が、変化や移動していないという保証はあるのでしょうか。それは重要な問題です。たとえ年代正しいだろうという気持ちがあって、検証されなければ、正しいといえません。その検証に関する報告が、2014年2月下旬になされました。次回、それを紹介しましょう。


Letter■ 反省・桜の季節 

・反省・
皆さんは、ゴールデンウィークに予定していたことが
できたでしょうか。
家族や夫婦、友達、ひとりで
なにかする、どこかに出かけるなどの予定が
順調にこなせたでしょうか。
我が家では、行楽も出かける予定はなかったので
淡々と休みを自宅で過ごしました。
私は、自分のやりたいことを考えていました。
私は、仕事ができなかったのが、一番の反省です。

・桜の季節・
ゴールデンウィークも終わり、
北海道もやっと桜が満開になりました。
今年は少々遅くまで寒さがあったので、
桜も少々遅れ気味です。
ゴールデンウィーク中にも肌寒い日があり、
我が家ではストーブを焚いた日もありました。
でも、着実に春は深まっています。