地球の歴史
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Essay■ 1_114 23億年前の事件 4:シナリオ
Letter■ 充電中・岐路
Words ■ 2月は充電期間  


(2013.02.14)
  23億年前、酸素が急激に増加するのは、光合成をする生物が急激に増えたこととされました。光合成生物が、なぜ増えたのでしょうか。その時期やメカニズムは、よくわかっていませんでしたが、シナリオが考えられました。

Essay■ 1_114 23億年前の事件 4:シナリオ

 関根さんたちは、23億年前のカナダの地層で、オスミウムの濃度も同位体組成を測定しました。その結果、氷河期終了直後から温暖期への移行期に、酸素の急増が起こったということことを示しました。
  では、時期の厳密な決定から、どのようなシナリオが考えられるのでしょうか。
  約23億年前、赤道まで氷河ができるような大氷河期、全球凍結が起こりました。大氷河期ですべての海が凍っていると、海水の蒸発、降雨という水の循環が停滞した状態になっています。氷河期が終わると、一転、急激な温暖化が起こります。氷河期の間にも火山活動がおこり、噴火で放出された二酸化酸素やメタンなどの温暖化ガスが、大気中に蓄積され続けたため、あるとき温暖化に転換したと考えられます。
  温暖化にともなって、海水の蒸発、降雨という水の循環が復活しました。激しい温暖化が起こると、急激な水の循環になります。大量の降雨により、大陸地域の化学的な風化作用が激しく起こりました。雨は、河川となり、海に流れ込みます。その時、大陸物質で溶けやすい成分も、一緒に海に運んでいきました。もちろん、このとき、オスミウムの濃度も同位体組成も変化をします。
  大陸からの由来する成分として重要なものに、生物の栄養源となるリンがあります。リンは地表や海水には少ない成分ですが、DNAの構成成分として重要なものです。海水にリンが増えると、生物の活動が活発になります。現在でも富栄養化として、プランクトンの大量発生による赤潮が起こっています。
  氷河期が終わった直後、富栄養化が、大規模に長期にわたって起こります。富栄養化によって、光合成をする生物が大繁殖しました。酸素のある環境は、酸素を嫌う生物にとって、絶滅を意味します。光合成をする生物は、酸素を武器に大繁栄をしました。そして、酸素の増産をおこないます。その結果、酸素の大量発生が起こりました。
  23億年前までは、大気に酸素がほとんどない状態から、現在の大気中の酸素量の1/100以上になったと考えられます。現在の1/100というのは、少ないように思えますが、非常に重要な境目だと考えられて、パスツール・ポイントと呼ばれています。大気中の酸素の量が、パスツール・ポイントを越えると、生物にとって、酸素を使う呼吸のほうが、酸素を使わない呼吸より有利になるとされています。
  温暖化によって、大気中の酸素濃度が、パスツール・ポイントまで急激に上昇しました。メタン(温暖化効果が強いガス)は酸化され、二酸化炭素なります。水の循環によって大気中の二酸化炭素は、海水中に溶け込み、炭酸塩岩として大量に沈殿、堆積しました。温暖化ガスが大気中から取り除かれると、温暖化も納まります。これが、関根さんたちの出されたシナリオです。
  関根さんたちは、温暖化ガスの酸化や沈殿により過剰に大気から取り除かれることがあるといいます。温暖化から氷河期へというサイクルが可能になるということです。繰り返しおこる氷河期ー温暖期のサイクルが、光合成生物の活発化と関連があるということです。
  さてさて、このシナリオは仮説です。これを実証するのは、次のステップです。それがどのようなアイディアでおこなわれるでしょうかね。


Letter■ 充電中・岐路 

・充電中・
2月の3分の1が過ぎました。
私は、2月を充電期間として、
研究の基礎を固めるために、
発達心理学と統計学の概要をまとめています。
いずれも大きな学問分野ですが、
なかなか機会がなく、ついつい中途半端にはじめては
挫折していたものばかりです。
今回は、終わることはないのですが、
概要を把握することに重点をおいてすすめています。
さてさてとこまでいけるのやら。

・岐路・
大学では現在多数の企業が来てくださって
説明会をおこなわれています。
3年生向けのものです。
卒業後の自分の進む道を決めるものです。
就職に目を向けている3年生は
どの程度いるのでしょうか。
他の学年で気になる学生に声をかけているのですが、
帰省しているものもいるので、
なかなかコンタクトもとれない学生もいます。
学生生活にもいろいろな岐路があります。