地球の歴史
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Essay■ 1_113 23億年前の事件 3:タイミング
Letter■ 大学では・追試
Words ■ タイミングは重要だ  


(2013.02.14)
  23億年前、全球凍結、酸素の急増、真核生物誕生という大事件が、ほぼ同時期に起こりました。事件は本当に同時でしょうか。それとも前後しているでしょうか。順番によってシナリオが大きく変わってきます。全球凍結と酸素急増のタイミングが決定されました。

Essay■ 1_113 23億年前の事件 3:タイミング

 関根さんたちのグループは、オスミウム(Os)という元素を用いて、23億年前の事件を調べました。オスミウムの濃度や同位体組成が、大気中の酸素の濃度を間接的に示していることは、前回、紹介しました。
  関根さんたちが分析した試料は、カナダのオンタリオ州エリオットレイク地区に分布するヒューロニアン累層群(約22〜24.5億年前)と呼ばれる地層でした。地層は、23億年前の時代をまたいでたまったものです。以下では氷河堆積物と砂岩泥岩の境界を基準(0m)として、地層の上下の位置で表現します。
  下部には、氷河性堆積物が1m以上あり、その上に60cmほどの砂岩と泥岩の地層があります。砂岩泥岩の地層は、徐々に炭酸塩岩に変わり、1mあたりで、完全な炭酸塩岩層になります。
  この地層から、連続的に試料を採取して、オスミウムの濃度や同位体組成が調べられました。
  氷河性堆積物は、オスミウムの濃度も低く、同位体組成も非常に小さい値でした。
  砂岩泥岩になってすぐに、オスミウムの濃度も同位体組成も上昇しはじめます。砂岩泥岩になってしばらくする(30cmほど)と、値は急激に上昇し、炭酸塩岩に漸移するところ(70cmほど)で、ピークをむかえます。完全な炭酸塩岩になる(1m以上)と、値は落ち着きますが、氷河性堆積物と比べて高いまま保たれているようです。
  氷河堆積物は、大規模で、全地球が凍ったほどだと考えられています。前回説明したように、オスミウムの挙動から、氷河時代は酸素濃度が低い大気であったことがわかります。
  氷河期のあとにたまった炭酸塩岩は、地球が温暖な気候に変わったことを示すと考えられています。23億年前頃には炭酸塩岩の地層は、世界各地でよくみられます。全球凍結の直後に、前地球的に温暖化があったことはよく知られていました。
  今回、関根さんたちは、氷河期が終わってすぐに、酸素が増加しはじめ、炭酸塩岩がたまるような温暖化と同時に、酸素が急増したことを示しました。
  今まで、23億年前の全球凍結と大気の酸素急増のタイミングに限定した研究はありませんでした。今回、関根さんたちは、酸素急増の時期を氷河期直後と厳密に決定しました。従来からそうではないかと考えられていたのですが、データがなく、検証されていませんでした。関根さんたちの成果で、氷河期の記事と酸素の急増の時期が明らかになりました。
  氷河期と酸素急増のタイミングが明らかになり、どのようなシナリオが考えられるのでしょうか。そのシナリオは次回としましょう。


Letter■ 大学では・追試 

・大学では・
大学は、一般入試も一段落し、
正課の講義は終わったのですが、
変則的な講義はまだ継続中です。
いくつかの学科では卒業論文の発表会がおこなわれています。
特別支援教員課程の事前指導もおこなわれています。
また、企業説明会も同時におこなわれています。
追試もおこなわれています。
採点と評価が終わったばかりですが、
次は来年度の講義シラバスの〆切があります。
つぎつぎと校務があり、
なかなか落ち着かないのですが、
研究としていろいろできる時期でもあるので
抜かりなくやっておこうと考えています。

・追試・
成績をつけていると
レポートなどをきっちりと出しているのに
試験を欠席するする学生が少なからずいます。
欠席した正当な理由があれば、
追試が受けられます。
追試も受けに来る学生が
それほど多くないのが不思議です。
なぜ、試験を受けないのでしょうか。
諦めがいいのでしょうか。
それとも多数ある単位の一つに過ぎないので
それほど必要性がないからでしょうか。
後者ならいいのですが。