地球の歴史
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Essay■ 1_110 最古のクレーター 2:意義
Letter■ 不調・師走に
Words ■ 忙しい時ほど落ち着いて、前を向いて、歩こう


(2012.12.20)
  最古のクレーターが、30億年前の衝突でできました。クリーンランドの西の海岸沿いから見つかりました。古いものなので、クレーターの形態は不明瞭ですが、いくつも証拠が示されています。では、この古いクレーターが発見された意義は、いったなんだったのでしょうか。


Essay■ 1_110 最古のクレーター 2:意義

 前回、地球最古のクレーターは、約20億2300万年前のフレデフォート・ドームだと紹介しました。しかし、今年の夏、もっと古いクレータが発見されました。約30億年前のもので、クリーンランドから見つかりました。
  デンマークやイギリスのガルディア(Adam A. Gardea,Iain McDonaldb, Brendan Dyckc, Nynke Keulena)たちのチームが、発見して報告しました。論文のタイトルは、「Searching for giant, ancient impact structures on Earth: The Mesoarchaean Maniitsoq structure, West Greenland」(地球の巨大で古い衝突構造の探査:西部クリーンランド、太古代中期マニツォーク構造)というものです。
  地下20〜25kmに直径約100kmのクレーターの構造があるようです。地表にもそれなりの痕跡はありますが、明瞭なクレーターの構造はみられないようです。3年間以上かけて調査をしたそうです。2010年までは内陸部で野外調査をして、2011年には海岸沿いを調査したようです。
  その結果、クレーターの証拠として、磁気異常があること、変形はしているが丸い構造があること、割れ目のような構造が多数あること、砕かれた岩石が丸い地形の中心付近に広く分布していること、もともとあった花崗岩類が砕かれて溶けていること、さらにいろいろな鉱物で衝突の証拠が示されています。
  彼らは、衝突した天体が、直径30km以上の小惑星か彗星で、クレーターももともとは500〜600kmほどあったとかもしれないと見積もっています。
  地下深部に存在することと古いことで、明瞭なクレーターの地形は残っていません。しかし、クレーターといってもいいような構造のみえる地質図が示されています。衝突の確実な証拠ではなさそうですが、それなりの根拠がありそうです。
  これがクレーターだったとして、30億年前のクレーターが見つかった意義は、どのようなものでしょうか。
  30億年前の時代にできたクレーターが残っていることは、非常にまれなことのはずです。なぜなら、そもそも30億年前の地層が、当時のまま現在まで残されている地域が、非常に限られています。そんな限られた地域にもクレーターの証拠があったとなれば、地表は隕石の衝突は、たびたび、そしていたるところにあったことになります。
  地球上の古いクレーターの数は少ないので、その頻度に対して結論はでませんが、月のクレーターをみると、40億年前から38億5000万年前の間に、激しい隕石の衝突(後期重爆撃)があったこと、地球の衝突スフェルールからは、34億7000万〜32億3000万年前の間と26億3000万〜24億9000万年前の間、21億〜17億年前の間に何度かの衝突があったことがわかりました(本エッセイの1_105から107)。今回のクレーターは、約30億年前のもので、今まで見積もられていたデータとは一致しません。新たな衝突のピーク時期があったのか。たまたまその時期に一つだけ衝突があったのか。それともスフェルールからの推定が間違っているのか。いろいろな疑問が生じます。
  あまり、これといった意義はないような気がします。もしかすると、この論文は、過去の不確かさを伝えたことが、一番重要な意義だったかもしれませんね。


Letter■ 不調・師走に 

・不調・
今週は、土、日曜日をしっかりいつものように休んだのに、
なぜか月曜日の朝が起きられずに
1時間ほど寝過ごしました。
火曜日の明け方は激しい寝汗をかきました。
熱もなく、食欲も普通にあります。
でも、なんとなくボーっとしています。
どうも風邪にかかっているようです。
週末には学生と飲み会があります。
無理せずに休養しながら
日々を過ごして治しましょう。
教員は休めないのが辛いところです。

・師走に・
いよいよ今年も終わろうとしています。
しかし、まだ12月は2週間も残っています。
1年で考えると52週分の2週です。
まだまだ やりたいこと、
やれること、やるべきこと
があるはずです。
日々を疎かにしないこと。
こんなことを師走になると
いつも考えてしまいます。