地球の歴史
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Essay ■ 1_70 最古の大陸:大陸の形成2
Letter■ 発見のラッシュ・後期の講義
Words ■ 正月気分は抜けましたか


(2009.01.15)
  最初の大陸はいつごろ形成されたのでしょうか。大陸に残された過去の大陸の断片、つまり石ころにその証拠を求めることになります。


Essay ■ 1_70 最古の大陸:大陸の形成2

 大陸にはいろいろな時代に形成された「もの」があります。一番古い「もの」は、オーストラリアのジャックヒルからみつかった最古の鉱物の粒で、44億0400万年前のものです。カナダのアカスタというところでは、約40億年前の「岩石」が見つかっています。グリーンランドのイスアというところからは、38億年前の最古の「堆積岩」が見つかっています。
  44億0400万年前に形成された最古の鉱物は、岩石としてみつかったのではありません。20億年前の堆積岩の中に含まれているある砂粒が、42億年前に形成されたものでした。たった一つではなく、何個か似た年代の粒がみつかっています。その鉱物はジルコンと呼ばれるもので、花崗岩を形成するようなマグマからできるものです。また、大量の花崗岩のマグマは、水が存在しなければできないと考えられています。ただ、これはいくつも仮定をたてられた上での可能性ですから、確実ではありません。誕生したての頃の地球の表面は、どろどろに溶けた状態(マグマオーシャンと呼ばれています)でしたが、約44億年前には、固い地表を持つまでに冷めてきたことになります。最初の地面、あるいは大地が形成されたのは、約44億年前まで遡ることができそうです。
  40億年前の最古の「岩石」は、マグマが固まってできた火成岩で、トーナル岩と呼ばれています。トーナル岩は、大陸を構成している主要な岩石です。40億年前が最古の大陸の証拠と考えていいわけです。トーナル岩は、水がないと大量のマグマとして形成されませんから、海もあったと推定されます。ただし、直接の海があったことを示しているのではありませんから、海があったと確定したわけではありません。しかし、40億年前のトーナル岩は、大陸地殻が形成されていたことの確実な証拠になります。
  堆積岩ができるためには、水の存在が不可欠です。堆積岩の存在は、海の存在を証拠づけるものです。グリーンランドの堆積岩には、丸く円摩された石ころがたくさん含まれています。このような堆積岩を礫岩と呼びます。礫岩は、河川や海岸で丸くなりますから、川や海岸があった証拠となります。
  38億年前以降も、堆積岩はいろいろな地域、いろいろな時代から見つかっていますから、海が継続的に存在していたことになります。つまり38億年前には、現在と同じような海と陸、川という現在の地表と同じ営みがスタートしており、それが現在まで継続しているということになります。
  地球の歴史は、45.6億年前ころに始まりました。地球誕生から、長くても8億年、短ければ1.6億年で、海と陸という地球の特徴が形成されたことになります。


Letter 発見のラッシュ・後期の講義 

・発見のラッシュ・
最古のものを求めるということは、
なかなか大変なことです。
なぜなら石に、直接年代が書かれているわけではなく、
分析してみないとわからないからです。
ところが、見つかる時期には、
次々と古いものが発見されていきます。
1990年前後から2000年代にかけて、
最古の岩石の発見が相次ぎました。
それは、実は年代測定の技術において
革新的な進歩があったためです。
一粒の結晶の数10μmの部分の
年代測定をする装置が開発されました。
それを利用して、今までできなかったサイズの鉱物の
年代測定ができるようになったのです。
古そうだと考えられている岩石があっても、
それまで調べる手段がなかったのが、
あるときから年代測定ができるようになりました。
その結果、古いものが続々と発見されるようになりました。
その後、発見ラッシュは一段落してきました。
その装置は、だいぶ普及して、
年代測定も各地でできるようになりました。

・後期の講義・
大学の講義が正月明け7日から始まりました。
その後すぐに、後期の講義が終わり始めます。
ただ、祝日の関係で再来週まで続く講義があります。
どうも曜日によって、講義の進行が違ってくるのは困りものです。
今度の金曜日には月曜日の振り替えとなります。
月曜日の講義は、同じ週に2回行うことになります。
講義内容によっては、教員も学生も苦労することになります。
振り替え休日、ハッピーマンディなどの制度は、
学校教育ではあまり歓迎できません。
ただ、それを楽しみにしている人もいますから
いまさら変更はしづらいでしょうが。