地球の歴史
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Essay ■ 1_67 第四紀境界の決定法:地質時代4
Letter■ 晩秋の快晴・忘年会
Words ■ いよいよ先生も走り出す季節になりました


(2008.11.13)
  人類化石を第四紀の時代境界の基準にするには、あまりにも汎用性が少なすぎます。そのために代替案が、いろいろ考えられてきました。今回は、人類化石に変わる方法には、どのようなものがあるかをみていきます。


Essay ■ 1_67 第四紀境界の決定法:地質時代4

 そもそも第四紀は、人類の出現をもってはじまりとされていたのですが、人類の化石は、産出する数が少ない上に、産出する場所も限られています。世界のどこでも利用できる時代境界ではありませんでした。ですから、人類化石の代替として、世界のどこもで利用できる時代境界が必要になります。
  その候補は、いくつかあります。人類の出現と同じ時期に認められる事件、現象、化石の出現などに定義を変更して、そこを時代境界の新たな基準とすることです。その典型的な場所を模式地といいます。模式地は、研究者や国、地域によって統一されないこともあります。それでも、時代境界として一致していればいいのですが、ずれていることが往々にして起こります。特に第四紀は、地質学者だけでなく、多くの学問分野の人が入り乱れている学際的領域となります。データも、新しい時代なので、他の時代比べれば量も多く、精度も高くなっています。そんな状態が第四紀の境界問題を複雑にしているのだと思います。
  まずは、第四紀を決めていく方法について、いくつか見てきましょう。
  第四紀を人類の化石ではなく、汎世界的に見つかる生物で、大量にでる化石に置き換える方法です。その化石の種類が大きく変わるとことにすれば、化石の産出量や地域の局所性という問題は解消されます。気候などのによって比較的影響を受けにく汎世界的に見つかる生物として浮遊性プランクトンが上げられます。しかし、そのような生物は、海成の地層でないと適応できません。陸上の地層には、なかなか適切な汎世界的生物の化石がなさそうです。
  化石ではなく汎世界的な事件を利用する方法があります。そのような事件として、古地磁気の反転を利用する方法が提案されています。人類の化石がではじめる時期の起こった世界的な古地磁気変化であるオルドバイ事件(松山事件の中のひとつ)を利用する方法があります。これであれば、海や陸を問わず適用可能です。
  この方法の問題点は、目的の地域で、古地磁気に適した岩石が手に入れられるかどうかは不明なことです。古地磁気が岩石に記録されるには、磁鉄鉱などの磁性を持つ鉱物を含んでいなければなりません。磁鉄鉱は火成岩に見つかる鉱物です。火成岩が対象ならいいのですが、時代境界は堆積岩が用いられます。火成岩由来の粒子も堆積岩にも含まれていますが、磁性の方向がばらばらになったり、量が少なかったりすると、岩石全体の磁性は弱くなっていきます。このような欠点がありますが、分析精度をあげることで、実用化可能となっています。
  他にも地球規模の気候変動を利用する方法があります。人類の化石が出現するのは、氷河期の始まり(更新世のはじまり)です、また、氷河期の終わり、つまり今の間氷期のはじまりが、完新世のはじまりに一致します。このような気候変動を指標にしょうようという方法です。しかし、高緯度や山岳地帯では、氷河の証拠がありますが、氷河は、地形や局所的な気候変動によって、どの地域でも時期が一致するとは限りません。ですから、地域によって氷河期の区分や時代のずれがあることがわかっています。しかし、人類化石の代替として古くから利用されているので、この方法は氷河期などの区分には利用されています。
  以上、代替案をいろいろ見てきました。では、どのような方法がいいのでしょうか。あるいは、国際的はどうしようとしているのでしょうか。それを次回考えていきましょう。


Letter 晩秋の快晴・忘年会 

・晩秋の快晴・
北海道はここ数日、快晴の日が続いています。
久しぶりの快晴の日です。
今まで、一日の中でも、
晴れたり、曇ったり、雨だったり、雪だったり
めまぐるしく変わりやすい天気が続いていました。
気温も一日で大きく変化しました。
快晴の日も、朝夕は急激に冷え込みますが、
昼間の太陽はなにものにもかえがたい
ありがたさがあります。
ほんの2日間ですが、晩秋の快晴を楽しました。

・忘年会・
大学の後期も半分ほど授業が進みました。
しかし、まだ半分残っているので、
気を抜くことができません。
しかし、11月半ばなので、忘年会の連絡が入ってきました。
公式な忘年会が2つあります。
大学の教職員全体のものと、学科も忘年会です。
時には学部の忘年会も入りことがありますが、
今年は、この2つだけのようです。
もしろん参加するのですが、忘年会という言葉を聞くと、
なんとなく落ち着かなくなります。
先ほど、まだ授業半ばで、気を引き締めなければならない
といったばかりなのですが、不思議なものです。
12月は先生(師)が走り回る時期なのでしょうかね。