地球の歴史
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Essay ■ 1_65 第四紀問題:地質時代2
Letter■ ソフトウエア・短い秋
Words ■ いよいよ暖房の季節となりました


(2008.10.30)
  地質の時代区分に関する"The Concise Geologic Time Scale"という書籍を通じて、地質時代について考えています。今回は、以前から話題になっていた時代区分について、どのような結論になったのかみていきましょう。


Essay ■ 1_65 第四紀問題:地質時代2

 新しく出版された"The Concise Geologic Time Scale"にまとめられた地質の時代境界をみると、大きな「代」や「紀」の境界は、まったく変わっていませんでした。細分された時代境界で、年代値が変わっていることがいくつかありました。しかし、それは以前の本(1989年版)でも変わる可能性があることは、示唆されていました。
  さて、前回のエッセイでいっていた物議をかもしていた内容についてみていきましょう。
  まず、新生代の「第三紀(Tertiary)」がなくなり、地質学では公式には使わなくなりました。「第三紀」はなくなり、新生代は「パレオジン(Paleogene)」紀と「ネオジン(Neogene)」紀に区分され、「第三紀」は公式な時代名称ではなないことにされました。この件については、衝撃はあったのですが、とりあえずは受け入れられたようです。
  ただ、「パレオジン」紀と「ネオジン」紀に対応する日本語名は、まだ決定されていません。ですから、私は、カタカナ書きで書いていますが、早く決定してもらいたいものです。
  どこが決定するかは、正式にはわかりません。日本地質学会が、日本語名称を提案して、それを関係学会に示して、了承を得ることになるのが、一番妥当のような気がします。
  さて問題は、「第三紀」とともに消えた「第四紀(Quaternary)」です。両時代名とも昔つけられたものが、そのまま慣習として使われているにすぎず、現在では「三」や「四」に意味があるわけでありません。ですから、以前の"A geological time scale 1989"ではなくすという方針となりました。しかし、それが大きな混乱と議論を湧き起こしました。その後もいろいろ議論され、一時は復活させる提案もでてきました。現在まだ検討中で、決着はみていません。私は、この「第四紀」問題が解決したかどうかという興味があり、「Concise版」を見たのですが、まだ議論中でした。
  「Concise版」の最初のカラー図版の地質年代表を見ると、下に但し書きがあります。「第四紀の定義は議論中で、更新世(Pleistocene)の改定も議論中である。更新世の始まりは、181万年前(Calabrianの始まり)だが、259万年前(Gelasianの始まり)まで広がるかもしれない」と書かれています。これは、暫定的に使用可能としている第四紀のはじまりをどこに置くかによって変わってくるわけです。第四紀のはじまりの更新性と一致させるのか、それとも独自の時代区分を持つのかということです。
  ではそもそも、なぜ第四紀がこのような物議をかもしているでしょうか。それは、第四紀の定義に原因があったのです。その詳細は、次回としましょう。



Letter ソフトウエア・短い秋 

・ソフトウエア・
地質時代は、使われる色も指定され、
カラーで見ると非常にきれいな色合いとなっています。
地質時代の色は、地質図でも使われることになり、
重要な意味を持っています。
色を実際に塗るのは大変ですが、
地質時代の作成すための便利なソフトウエアが公開されています。
http://www.tscreator.com/
に無料でダウンロードできるようになっています。
このソフトは、Javaで書かれていますので、
Javaが動くソフトであれば、OSを問いません。
マニュアルも同じサイトあります。
簡単に使えて、なかなか便利なソフトです。
興味がある方は、試されてはいかがでしょうか。

・短い秋・
木々の葉もだいぶ落ちてしまいました。
今年の紅葉はあまり艶やかではありませんでした。
でも、それなりの秋の色合いを見せてくれました。
北海道のわが町では、手稲の山並みが見えます。
その山並みが、先日とうとう雪化粧をしました。
ここ数日天気も悪く、冷え込みました。
朝夕は我が家では、ストーブを炊いています。
日中も曇りの寒い日はストーブをつけます。
北海道では短い秋も終わろうとしています。