地球の歴史
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1_10 星の輪廻

(2001年9月6日)
 形あるものはやがてなくなります。星も例外ではなく、やがて死にます。死んだ後に、その屍は他の星の材料になります。まさに輪廻転生です。星の死は、星の再生でもあります。星の再生は、全くといっていいほどのオーバーホールがなされます。それは星の死のすざましさに由来してます。


 星は、自分自身の物質による引力と、核融合によって発生する熱による張力のもとに安定しています。そのバランスがくずれる時、星の終わりが訪れます。その最期は、星の大きさが大きいほど激しくなります。一番激しい終わり方が、超新星爆発と呼ばれるものです。
 星の中では、水素(H)が核融合して、ヘリウム(He)となります。つまり、星の燃料は水素です。
 大きな星は、引力が強力な分、核融合による熱の発達も多くなります。つまり、熱く明るくなります。星は温度が高くなるにつれて、赤から黄色、白へと変化していきます。大きな星では、核融合が早く進むので寿命が短くなります。
 水素が不足してくると、核融合による張力が足りなくなります。つまり、星としてのバランスが崩れます。引力による縮もうとする力が優ります。そして、縮むと、引力によってヘリウムより大きな元素の核融合が起きます。星の引力に応じて、核融合によって重い元素ができます。しかし、星の中で核融合できるのは鉄(Fe)までです。
 それは、鉄より重い元素は、核融合がおきても熱を放出しないからです。核融合するには、エネルギーをつぎ込まなければなりません。つまり「熱える」は鉄までの元素で、鉄より重い元素は「熱す」必要があるわけです。
 元素が「熱される」は、超新星爆発のときです。バランスのくずれた星が最期に大爆発をする時、重い元素が合成されていくのです。そして、爆発によって重い元素が宇宙にバラまかれます。
 宇宙が始まった時、重い元素はありませんでした。ほとんど、水素とヘリウムだけでした。星の中に星の爆発によって、重い元素が宇宙に増えていったのです。
 私たちの体は、水素と酸素つまり、水を主成分として、炭素(C)、窒素(N)、リン(P)などの重い元素があります。また、地球には鉄や鉄より重いウランまでの元素が含まれています。太陽にも同じように重い元素が見つかっています。つまり、私たちの太陽を構成している元素を見ても、超新星爆発が事前に必要だとわかります。
 私たちは、宇宙開闢当時に作られた元素、星の中で作られた元素、超新星爆発で作られた元素からできています。私たちは、まさに「星の子」といえます。そして、私たちの太陽の死は、新たな星の誕生へと継がります。