地球の歴史
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1_9 星の死

(2001年6月21日)
 毎夜あるいは毎年、同じ星座を見ることができるのは、星々が、恒(つね)に輝き続けてからです。では、恒星は、未来永劫に輝き続けるのでしょうか。答えは否です。恒星も、ある時に生まれ、ある時が経つと死んでいきます。今回は、星の死と、その死と密接に結びついている星の誕生を見ていきましょう。


 夜空を見上げて見える星々は、大部分恒星(こうせい)と呼ばれる自ら輝いている天体です。星々は毎夜、少しずつその位置を変えて、1年たつと同じ配置にもどります。これは、地球が太陽の回りを公転しているためです。地球の夜にあたる側が、太陽の回りに360度、つまり1回転した結果を見ているのです。
 毎年、同じ星座が見ることできるのは、人類が星を見てきた期間より、星の方が長い寿命を持っているからなのです。恒星の寿命は、大きさに依存しています。大きな星は明るく短命で、小さな星は暗く長寿です。私たちの太陽くらいの大きさの星は、約100億年くらいの寿命です。人類の歴史に比べて非常に長い寿命といえます。私たちの太陽は、現在、約46億歳です。あと、50億年ほどの寿命を残しています。人類の子孫は、多分、太陽の終わりを見ることはできないでしょう。
 夜空には、多数の星があります。もし、太陽サイズの星が100億個見えるとすると、確率的には、毎年1個の星が死んでいってもいいはずです。実際には遠くの星は見えませんから、そんなに多くの星の死は観察されていません。しかし、古くから、私たちは、星の死を見てきたのです。中国では、ある日突然明るくなったり、今まで見えなかったところに見え出した星を、客星(きゃくせい)と呼んで記録してきました。明るい客星は、昼間でも見えたといいます。
 星は死ぬ時、一瞬非常に明るく輝きます。それを超新星爆発といいます。超新星爆発を起こす星は、私たちの太陽より、何桁も大きい星です。最近では、1987年にマゼラン星雲で起きた超新星爆発が有名です。
 超新星爆発の時、それまであった物質は、原子より小さな素粒子のレベルまで含めて、一新されます。また、元素の合成と新しい元素の配分比率ができます。寿命の長い放射性核種や、寿命が短く一瞬しか存在できないウランより重い超重元素なども、この時できます。
 超新星爆発によって、周辺に元素が、まき散らされます。まき散らされた元素は、次の星の材料となります。寿命の短い放射性核種から、私たちの太陽系は、超新星爆発から、1000万年もかからずに形成されたことがわかっています。星の死から誕生は、あっという間の出来事なのです。
 太陽系の主要な成分である軽い元素(水素とヘリウム)は、もともと近くにあった成分を利用しますが、それより重い元素は超新星爆発からもたらされたことになります。
 一つの星の死が、他の星の材料となり生まれ変わっていきます。星の死と同じ数だけ星の誕生があろことになります。長い時間たてば、星の配置は変わるかもしれませんが、夜空を彩る星の輝きは衰えることはなさそうです。